若者が政治に関心がないことは悪くない
執筆時点は2021年の10月で、岸田内閣が組閣され、新しい政治が始まろうとしています。
各省庁の大臣も新旧入れ替わりが行われていく最中、戦後最長の財務大臣となった麻生太郎氏も財務省を出られました。色々と本音で語られる政治家な印象で、個人的には閣僚の中では好きな人でした。今後も活躍を期待しています。
今日はそんな麻生太郎氏の特別授業の動画を視聴して、また新しい考えに触れることがあったので、そのことを記事にしようと思っています。
それは「政治への関心」についてです。
政治への関心がないということは幸せという事
麻生太郎氏は、若者が政治に関心がないということは、政治のことを気にしなくても幸せな生活が送れているということなので、それは悪いことではないと授業で述べられていました。
これは面白い考えだと思ったわけです。
アフリカやアフガニスタンなど、危険な地域に住んでいる方々は、否が応でも政治に関心を持つことになる、そうしないと自分たちの命に関わるのだと続けて述べられ、確かに日本では、公園で遊んでいて地雷を踏む危険もなければ、突然銃で撃たれる心配もなく、そういう意味では平和で幸せな環境なのだと改めて認識させられます。
日本では、若者が政治に関心を持っていない状況であっても、それなりの政治が行われてそれなりに幸せな環境が構築されていると言えなくもありません。
政治への無関心が戦争を呼ぶ危険性
実はこの政治への関心については、過去に記事にしたことがあるのです。
日本では政治議論がタブー視される環境があり、ドイツ人の若い人がそれを見て変だと感じたというところから始まり、ドイツでは家庭内や友人とのパーティーの場であっても、政治の議論はどんどん積極的に行うという考え方に衝撃を受けたことを記事にしています。
これは、若い人も含めて、政治関心を持っていなければ、ヒトラーの様な良くない指導者を選んでしまう危険性があるからで、その歴史を繰り返さないための、最善の努力をする体制づくりが、教育の段階から行われているというのです。
この事は、今思い返しても、非常に衝撃的です。
史上最高に民主的な憲法であった、ワイマール憲法上で、ナチ党ヒトラーが過半数の議席を獲得し、憲法を改正してしまい、独裁政権にしてしまうという、民主的な方法での民主政治の崩壊を招いたことは、非常に恐怖すべき事象でしょう。
麻生太郎氏の考え方も一つの在り方
日本は本当に恵まれた国です。
確かに日本の国会議員には多くの国民から支持されていない人もいたりするわけですが、そんな人であっても、少なくとも選挙に当選しているわけで、当時はそれなりの人数に支持されていたわけです。
確かに自民党政権でない時代は、景気が低迷したり、様々な悪夢のようなことが日本内で起きたとされていますが、それでも日本国民の生命に大いなる脅威が訪れたりはしていません。経済的な動きはある程度影響としてあったとしても、変わらず平和な日々を過ごせています。
そんな平和な世の中だからこそ、麻生氏の考えるように、若者が政治に関心を持って世の中を良くしようと頑張らなくても、経験豊富な大人たちがそれなりに何とかしてくれる、そんな国民と政治家の関係も良いのかもしれません。
独裁政権に通じるものがある
私は、個人的に独裁政権が悪いことだとは考えていません。
中国の共産党独裁も含め、独裁政権は物事の決定が速かったり、色々と良いこともあります。腐敗しやすいという最大の欠点があるわけですが、それが自制できる優秀な指導者であれば、これほど強力な政治体制はないでしょう。
中国の政治観についても、以前記事にしたことがあります。
中国の国民の政治観としては、政治は政治家がするもので、国民はそれぞれの生活を頑張るという、いわば分業の様な形式です。国の様々な面倒は、政治家たちが面倒を見てくれる、まるで母親か小学校の先生のようだというのです。
国によって、本当に政治に対する考え方が異なっていて、本当に勉強になります。
麻生氏の「若者が政治に関心を持つ必要がない」という言葉は、この独裁政権の体制において、その政治を信頼した場合の感覚に近いのかもしれません。
個人的にはそれでも政治議論はすべきとは思う
確かに麻生氏が言うように、政治に関心がなくてもよいとも思う一方で、やはり危険な候補者や、危険な政策を掲げる政党を当選させないように、ある程度の政治議論はしていくべきだとは思います。
今の日本国民の政治に対する関心は、他国に比べて低めで、投票率も50%程度しかありません。ドイツなどでは80%に近い投票率で、政治への関心の高さが伺えます。
特に、今の日本周辺の国家間の緊張度合いや、世界規模での気候変動に対する急な取り組みなど、ここからしばらくは国の政治は非常に重要になることが予想されます。具体的には、台湾有事や脱炭素社会(カーボンニュートラル)などです。脱炭素の方は、2035年には大きな節目が世界的に来ることが確定しています。その先の2050年も見据え、日本がどのように脱炭素社会に進んでいくのか、官民一体となって、我々の日本を進めていかなければならないと思う次第です。
麻生財務大臣の功績
麻生さんの在任中の功績として、消費税率を2度上げたことが挙げられていました。
この事も含め、在任中に税収が40兆円規模から60兆円規模へ拡大したとのことです。
国民がそれだけ税を多く支払うようになっているのですが、その分国民全体の経済状況も改善しているのでしょうか。支持率は下がるどころか、税金を上げたにもかかわらず支持率が上がるという奇妙な現象が起きたそうです。
ともあれ、非常に長い期間のお役目、本当にお疲れさまでした。
少子化対策に1000万円報酬に似ているか
確かひろゆき氏だったと記憶していますが、少子化の対策として、子供が生まれたら1000万円支給する案を出されていました。
経済にお金を投資して、税収を上げるという動きは、この少子化対策に近いものを感じます。
一般的に、日本国民は、生涯に支払う税金総額が4000万円から6000万円程度とされているらしく、例え出産に1000万円支払ったとしても、長い目で見ると国としては大きな税収を得るというのです。
非常に面白い発想です。
この問題は、反出生主義などの兼ね合いもありますが、日本は今後どの方向に進んでいくべきなのでしょうか。日本だけに限らず、世界人口の爆発的増加についても、どうするのが正解なのかもっと人類は考えるべきな気がします。
まとめ - 人類全体の考え方の成長 -
今日は政治に対する関心の是非を、今一度考えてみました。
ドイツ式、中国式からの麻生氏の考え方で、本当に人や地域によって、色々な考え方があり、それぞれ勉強になります。
それら色々を知っていく中で、自分なりの考えが持てるようになり、その良いと思える考え方を共有し、議論し、人類全体の考え方がより良い方向へ進んでいくのが、何よりの理想形だと感じます。
ワイマール憲法とナチスの憲法改正手法についてのニュース
麻生氏のニュースで一つ面白いものがあったので、この記事で紹介しておきます。
このニュースでは、憲法改正の進め方について、麻生副総理がナチスドイツが、ワイマール憲法を変えて、独裁的な政治を行うことが可能な憲法へと作り替えたその手法を参考にするとよいと発言したことに対し、世界から批判の声が上がったため、その例が適切でなかったとして取り消したと伝えています。言いたいことは分かりますが、なかなか過激な表現をされる方だなと改めて思います。個人的にはナチスを正当化しているわけでもなく、単純に憲法改正の流れの参考に引き合いに出しているだけと理解できるので、当然ながら批判には当たりません。これを批判している人は、言葉の表面だけを読み取って脊髄反射しているだけとしか思えません。
おまけとしての紹介
ワイマール憲法を民主的な手順で憲法改正して独裁にした流れなどについても、上記記事でも紹介した以下の投稿で紹介してあります。念のためもう一度置いておきます。
ヒトラーという人を、現代社会で表現したコメディー映画から、人の民意を誘導する怖さなどを知り、改めて政治への関心の必要さを感じられる映画「帰ってきたヒトラー」という映画もオススメなので、ここで紹介しておきます。
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