2021年10月3日日曜日

国連安保理で北ミサイル非難と北朝鮮の反応 - 二重基準

ロシア・中国の圧倒的存在感



今日は、このニュースから、国連安保理と北朝鮮問題について考えてみることにします。

第二次世界大戦後につくられた国際連合ですが、北朝鮮がミサイル実験を繰り返すことに対して、国際世論として非難する声明を出そうと決議をしたところ、ロシア・中国が難色を示したことで、その声明を国際世論として発表することができなかったというニュースです。

日本国内で一般的には北朝鮮がミサイル実験することに対して否定的な状況ですが、私は少し違った見解を持っています。

国際連盟安全保障理事会(国連 安保理)の常任理事国



まずは基本的な事から抑えてみます。

国際連合 安全保障理事会は、第二次世界大戦の戦勝国から常任理事国と言われる強い権限をもった国が5つ存在します。それが以下の5か国です。

イギリス・アメリカ・フランス
ロシア・中国

個人的には、イギリス・アメリカは当然として、フランスは少し違和感がありますが、一応戦勝国側で、第二次世界大戦前後は大きな植民地を持っていて強大であったということなのでしょうか。

ロシア・中国については、社会主義国家ですが、確かに第二次世界大戦で激しく戦い勝利した国で、強力な指導者もいたことから、この立場になっているのも頷けます。

安保理 非常任理事国は任期2年




安保理には常任理事国の他に、非常任理事国というものがあります。
これは、常任理事国とは別で、各地域から選挙で代表が選ばれるという形式で選出されます。任期は2年で、選挙は全加盟国の秘密選挙という形式になっています。

(地域)
アフリカ3か国、アジア・太平洋2か国、東欧1か国、ラ米カリブ2か国、西欧その他2か国

2021年現在は、以下の国々となっています。

エストニア、ニジェール、セントビンセント及びグレナディーン諸島、チュニジア、ベトナム(2021年末まで)インド、アイルランド、ケニア、メキシコ、ノルウェー(2022年末まで)

本件とは関係ないですが、日本は非常任理事国への立候補を表明しています。過去には非常任理事国となっていたこともあります。

常任理事国は拒否権がある



安保理では、世界の平和秩序を守るため、様々な議論が行われます。ここでの決議は、法的な拘束力を持つもので、非常に重要です。

平和維持の活動(PKO)や、多国籍軍の承認、テロへの対抗などが主な活動ですが、制裁措置についてもこの中に含まれます。平和秩序を乱すものについては、各国が協力して制裁を加えて止めさせようという連合とも言えるでしょう。

しかし、常任理事国と言われる5か国の力は非常に強力に設定されており、国際連合憲章27条に全ての議案に対する拒否権を有すると定義されています。つまり、世界中の国々が賛成したとしても、常任理事国の1か国が反対すれば、それは否決されてしまいます。

つまり、何事を決定するにおいても、常任理事国である5か国全員が賛成することは、絶対的な条件となっているわけです。

北のミサイル実験を脅威とするのは西側だけ



さて、本題の北朝鮮のミサイル問題に戻ることにします。

今回のこの問題を提起したのは、アメリカ・イギリス・フランスの3つの常任理事国で、彼らはこのミサイル実験の問題を「深刻な懸念」と表明しています。確かに、平和秩序を乱すという観点から言うと、日本人の私も深刻な懸念と考えるでしょう。

しかし、ロシア・中国は「さらなる情報が必要」として、今回のミサイル実験に対する非難声明を出すことを拒否しました。常任理事国である2か国が反対したために、国際連合安保理としては、北朝鮮を非難することができなかった、ということになります。

俯瞰してみると、いわゆる自由主義・資本主義のグループとして使われる「西側諸国」という分類が、今回の懸念を表明している国で、逆に社会主義国家である「東側諸国」が反対していることが分かります。

ロシア・中国の存在は大きいが個人的には賛成



このニュースを見て、国連安保理は機能していないとか、ロシア・中国は北朝鮮の味方なのかとか、日本人の多くは否定的な意見を持っているようで、紹介した動画のコメント欄にはそういった趣旨のコメントが散見されます。

ですが、私は少し違う感想を持ちました。

今回のこのミサイル実験については、確かに世界平和を目指す上では懸念すべき事項ではありますが、ただミサイルを実験しただけで国際的・世界中から非難されるべきものではないと思うからです。

この件で北朝鮮を非難している日本人の皆さんは、非難している代表国でもある、イギリス・アメリカ・フランスが、どれだけミサイルの実験をこれまでしたと思っているのでしょうか。自分のことを棚に上げて、どの面下げて非難しているのでしょうか。

まさか自分たちは良くて、他の人は良くない、そういう理論なのでしょうか。

忘れてはいけない! 常任理事国はすべて核保有国



ちなみに、国連安保理の常任理事国は5か国とも核保有国です。
その絶対的な力を誇示することで、他国の勝手を許さないという世界覇者の様相です。

北朝鮮が核を開発したことで非難している問題と、本件は非常に近い案件であると見ています。

確かに北朝鮮が、現在進行形で核を開発し、ミサイルを実験しているのは世界の平和を目指す上では由々しき問題ですが、ミサイル実験を終え、核兵器をちらつかせる強大国から、経済的にも威圧され、睨みを利かされた状態で、武装を一方的に解除しろという言動が、「平等」でしょうか

私にはとてもそうは思えません。一体何様のつもりなのでしょうか

西側の日本の思想が人類の正解という誤解は危険


もちろん、資本主義社会で自由な経済活動を認められている我々の中には、幸福な人が多く、裕福な人も多いことでしょう。社会主義の歴史を見てみると、どの政策も失敗が続いて、酷い状態であったことは覆りません。

しかし、だからと言って「世界人類の最善は資本主義である」と考えるのは危険でしょう。

それはあまりにも短絡的で、思慮がなさすぎると言わざるを得ません。世界を破滅に追いやっていっているのは資本主義社会による「一部の人間の幸福追求」なのかも知れないわけで、資本主義社会の抱える貧富の格差や地球環境汚染レベルの問題など、人類としては解決しなければならない問題は山積みなはずなのです。

そういう意味では、決議が困難な状況を生み出しているものの、常任理事国に西側・東側の国が含まれていることは、非常に合理的で平等であると捉えてしまうのです。

国連安保理としては、一方の思想に傾倒して決議を進めず、世界を慎重に見つめて結論を出していくべきでしょう。

北朝鮮は兵器開発せず国を繁栄させるべきだが


しかし、安全保障上の観点では、ミサイル実験については保留となりましたが、北朝鮮は自国民を富ませる努力がもっと必要でしょう。

電気や水道など、生活にあると便利なインフラすらまともに提供されず、衛生や健康に対しても、現在の人類の科学進歩の恩恵を受けれているとは到底思えない状況だからです。

一方的に、北朝鮮の国民を不幸だと断定するようなことはしたくありませんが、国外脱出を希望する国民を処罰する様な状況であることを鑑みると、よほど辛い状況なのだと推察せざるを得ません。

北朝鮮は、他国からの侵略を防止し、自国防衛に必死な状況で、とてもそれ以外に資金を回せない状況なのだとは思いますが、正常な経済活動を希望しても、核保有国が「おまえは核を放棄しろ」と一方的な言い分で取り合ってくれないわけです。

やはり北朝鮮は被害者であるとしか考えられないのです。


まとめ - 人類の正解は西側の思想ではないと知ろう


結局同じ結論に至ってしまいました。私は純粋なる日本人で、特に在日とかでもなく、ごくごく普通の資本主義社会に生きる自由な人間の一人です。ただ、一般的な人より少し歴史などに興味があって、色々と知っていく上で、今の状況に対する考え方、見方が変わったという感じです。

かつて日本が国際連盟を脱退せざるを得なくなった状況と、北朝鮮の今の状況は非常に近いものがあると感じてしまいます。

先にやったものは許され、後からやったものは許さない、そんな不公平なものが世界秩序なのでしょうか

危険なのも理解しますし、平和を望む気持ちは同じです。しかし、この不公平な状況を改善する良い方法が考えられなければ、世界は正しい道には永久に乗れないと思えてなりません。

世界の有識者の方々は、北朝鮮を非難するのを止めて、どうにかこの不公平な問題を解消する良い方法を考案してほしいものです。この問題がある限り、日本が抱える北朝鮮拉致問題についても解決することは難しいでしょう。


追記 : 2021/10/06 北朝鮮の反応


北朝鮮は、このニュースに対して反応を示しました。


彼らの言い分としては、北朝鮮のミサイル実験は自衛のためであって、先進諸国が何度も行う軍事演習については問題ないとしている「二重基準(ダブルスタンダード)」だとのことです。

最近は特にですが、アメリカを中心として、日本・イギリス・オランダなどが合同軍事演習を南シナ海近辺で行っています。一歩引いて見てみると、どちらも同じ軍事演習であって、片方だけが脅威だ、懸念だ、というのは、私個人が見てもおかしいと思うのです。

北朝鮮の言い分は最もでしょう。

例によって、この紹介した動画のコメント欄は、西側諸国思想に固まった人ばかりが湧いて出てきています。ミサイル発射は日本のEEZに落ちていることもあり、十分脅威だと言っています。それを言うなら、北朝鮮の近海で、先進国が合同で軍事演習をしているのが、脅威でない、威圧ではないと言い切れるのでしょうか? 甚だ疑問です。

こんな軍事による威圧合戦では何も解決しないと、いい加減理解するべきだと思って止みません。

0 comments:

コメントを投稿