衆議院選挙が近いが日本の投票率は低い
2021年10月14日、新しく誕生した岸田政権によって、任期終了が近かった衆議院が解散されました。これによって、2021年10月31日に衆議院選挙が行われることとなりました。
これから各政党が、衆議院選挙によって議席を一つでも多く獲得するために、自分たちの考えを街頭や報道などで伝えるいわゆる選挙戦が始まり、騒がしい日々がやってきそうです。
しかし、日本の国民にはその思いは伝わるのでしょうか。
そう、日本の国民は政治への関心が薄いことで有名です。投票率は先進国の中ではかなり低く、この件を問題視する政治家や報道関係者も多く存在します。
今回は、近く行われることになった衆議院選挙に乗じて、日本の投票率とその根源と思われる政治への関心について取り上げてみたいと思います。
日本の投票率は52% (OECDでは31/38位)
日本の投票率は52.7%で、OECD(経済協力開発機構)の加盟国38か国の中で、31位となっています。簡単な表を以下に貼っておきます。(情報元は国際データランキング)
OECDとは、Organisation for Economic Co-operation and Development(経済協力開発機構)の略で、先進国による経済成長や貿易の自由化、途上国への支援などを話し合う国際機関です。
トップはオーストラリアの91.9%と驚異的な投票率となっています。新型コロナウイルスへの対策として、強力なロックダウンを行っても国民に強い支持をされていたことも頷けます。
以下のグラフは、日本国内の年代別投票率です。総務省のホームページに掲載されているデータです。少し古いですが、平成29年までのデータがグラフになっています。
投票率は政治への関心
選挙に参加して、投票をする権利があるにもかかわらず、投票に行かないというのは、基本的には政治に関心がないということでしょう。また、投票に行く時間くらいは捻出できても、投票する候補者についての情報まで集める程時間が作れず、無投票を選択している人も中にはいるかもしれません。世界の人から見ても「狂った様に仕事している」と言われる日本人ですから。
私も過去に何度か投票に行かなかったことがありますが、寝るためだけに帰宅して、起きている時間はすべて仕事をしているような状況で、当然候補者の情報も全く集められませんでした。投票の日も、睡眠時間の慢性的な不足からとても動ける状態でもなく、誰に投票しても良いかも判断できないため、そもそも投票にいかないという選択をした覚えがあります。
日本で政治への関心が低い理由
数字から考えると、多くの若い人は政治への関心が薄いようです。
この事については、多くの報道などで悪い事のように取り上げられますが、前財務大臣でもある麻生太郎氏は、とある講義で興味深い発言をしていました。その件を取り上げた記事がありますので、以下に紹介しておきます。
麻生太郎氏によると、「政治への関心がない事は悪いことではない」とのことで、その根拠として「日本人は政治に関心がなくても困らない」と続けて発言されています。
つまり、どのような政治家が国会議員であっても、それなりの政治を行ってくれるので、自分たちの生活が脅かされるような状況にならない、そのことは幸せなことだというのです。
確かに、一度や二度政治に参加せず、投票に行かなかったとしても、明日から突然生活できないような状況は想像できません。それくらい私たち日本という国は非常に恵まれている状況なのでしょう。
個人的には現在はそれほど悠長に言ってられない状況と考える
麻生太郎氏の言葉も理解はできるのですが、日本の行く末を傍観していていい程、現在の日本の置かれている状況は安心・安全な状況なのでしょうか。私はそうは思いません。
報道などでは、新型コロナの対策だったり、停滞する経済の再生に重きを置いていて、各政党の今のところの発表としては人気取りのための現金給付だったりと、場当たり的な政策しか見えてきません。
ですが、私個人としては、連日のように報道されている国際情勢、つまり国防について今こそしっかりと考えるべき時期なのだと感じています。中国・台湾の緊張は今に始まったことではありませんが、習近平氏の直近の台湾の統一に関する発言や、領空侵犯なども含め、緊張は高まる一方です。巻き込まれる可能性が高い日本の国防には、一抹の不安を感じずにはいられないのです。
それと共に、地球環境問題とエネルギー政策についてです。2030年や2050年と目標を国際的に発表している期限が存在する以上、それに対しての具体的な行動を起こしていかなければなりません。期限が近づいて急いで対応するのではなく、長期的なロードマップを引き、順番に各問題を解決していける、そんな政党にリーダーシップを発揮してもらいたいところです。
海外の政治への関心が高い理由
海外では政治の関心が日本よりも高い傾向にあるのですが、特にドイツについては面白いインタビューについて取り上げたことがあります。
ドイツの若い方が、日本人の政治への関心の低さに驚いたという話や、ドイツでの政治に対する向き合い方について話を聞くインタビュー動画が含まれています。
日本では、飲み会の席などでは政治や宗教の話はタブー視される傾向にあります。しかし、ドイツでは、家族とも友人とのパーティーの場であっても、積極的に政治議論を行うというのです。これには教育の影響もあるようです。ドイツでは、史上最高に民主的だったワイマール憲法上で、民主的に独裁政治に切り替えてしまったナチスドイツのヒトラーという人物がいて、その歴史を絶対に繰り返してはならないと教えられるそうです。
この話を知ると、日本人としては、この教育や思想については非常に考えさせられ、私たちも同じように政治に関心を持つべきだと考える人も大勢いるでしょう。
衆議院議員総選挙について - 制度や解散前議席 -
解散によって、現在の衆議院議員が全てその権利を失い、衆議院議員がいなくなったので、全ての衆議院議員を選びなおす必要があり、その選挙を衆議院議員総選挙と言います。
直近の衆議院議員総選挙の投開票日は2021年10月31日に決定しました。
ここで、選挙の仕組みについて確認しておくことにします。選挙の方法には、「小選挙区」と「比例代表」の2種類があり、この両方が同じ投票日に実施されます。小選挙区は地区ごとに人口によって決められた候補者が立ち、その候補者の中から投票する相手を選択する方式で、比例代表は政党を選択して投票し、その割合によって結果(議席数)が決まる仕組みです。
日本の衆議院議員の議席数は決まっていて、現在は465議席(人)です。
小選挙区が289、比例代表から176の議席が決定します。
ちなみに、解散前の衆議院の議席については以下の図の様な状況です。
自民党が276議席、連立政党である公明党が29議席で、合わせて過半数を超えている状態です。野党第一党は、最近よいニュースを聞かない立憲民主党で110議席となっています。立憲民主党の枝野氏は批判も多く、今回は苦戦しそうな予感もします。
今回の衆議院議員総選挙で、全ての議席が選挙の結果で決め直しということになるので、自民党としては公明党と合わせて過半数以上の結果を出さなければなりません。総選挙の後は内閣総辞職する(日本国憲法70条)ので、過半数以上を取れなければ、岸田内閣はそこで終了ということになります。過半数を超えていれば、再度指名される形で岸田内閣は事実上続投するということになります。
衆議院によって変わる日本 (二院制)
日本では二院制という制度を採用していて、衆議院の他に参議院という国会議員がいることが広く知られています。参議院には解散がなく、任期も6年と長いため、長期間にわたる検討が進められるといったような特徴があります。
しかし、衆議院と参議院で意見が分かれた場合などでは、衆議院側の意見が強く採用されることになっていることをご存じでしょうか。これを「衆議院の優越」といいます。つまり、日本の未来を決める上で、衆議院の議員を選ぶということは、非常に重要であるということです。
一度衆議院議員が決まると、解散でもされない限り、任期の四年間は変わらないことになります。
ただ、今回の衆議院議員総選挙では、直前まで自民党総裁選の話題で政治に注目が集まっていたこともあり、特に自民党については多くの候補者がメディアに露出したこともあって、普通に考えると自民党有利な気もします。
他の政党の候補者は、これから投開票日までの短い期間の間に、どれだけ国民の支持を得られるのか、少し可哀そうにも思います。
まとめ - 政治への関心を高める必要性 -
正直にいうと、政治への関心がなくて幸せという麻生太郎氏の意見も分かりますが、現在の日本では、若者こそもっと政治への関心を持つべきだと思うのです。
特に、20代の若者たちは、もしかしたらここから数年のうちに、ガソリン車が買えなくなったり、牛肉が異様に高くなったりといった、自分たちの将来に関わる一大事が決まってしまう可能性もあるのです。昔からそうであれば誰も文句を言わないでしょう。ですが、親や先輩の世代は許されていたことが、自分の世代では禁止にされるかもしれないのです。
納得できないくらい理不尽な政治になってしまわないよう、しっかりと政治に興味を持って、自分の思う未来に近い政党や候補者を選ぶ方が、誰のためでもなく、自分自身のためになるでしょう。
ただ、強制されたり、政治以外の興味で釣り上げたり、場当たり的な現金給付で興味を引くような方法が行われることについては、正直反対です。そんな目先の事しか考えないような政党には絶対に票を入れたくないと個人的には思います。(いや現金はもちろん喉から手が出る程ほしいのですが、日本の未来のことを考えるのとは別次元です)
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