高騰する資源と不足する石炭・天然ガス
中国では、以前から石炭が不足していて、エネルギー問題に起因する停電が問題視されています。中国が、エネルギー資源を石炭から天然ガスに大幅に移行を進めた結果、欧州では天然ガスの値段が倍以上に高騰し、結果脱原発を進めたドイツも停電の危機にあるという状況です。
世界中でエネルギー問題と地球温暖化に伴う気候変動の問題の間で、対応と現状の狭間で厳しい選択を迫られています。
2021年も夏が終わり、いよいよ冬の季節が訪れようとしていて、日本でも1か月前倒しの冬模様となってきています。そんな状況で、中国やアメリカから不吉なエネルギー関連のニュースが立て続けに入ってきているので、今回はそれらを取り上げながら、世界の現状を広い視野で見つめてみることにします。
中国の石炭高騰に政府は対応策なし
中国ではしばらく前から石炭が高騰していてエネルギー問題を抱え、多くの地域(特に中国北西部)では計画停電などが執り行われるなどの措置が行われていました。
しかし、冬になってくると、暖房設備などで石炭が一般家庭にも必要となりますが、価格が倍以上に高騰した石炭は、一般家庭に十分に行き渡らない可能性もあり、この冬を無事に過ごせるかどうかが危険な状態のようです。
そんな状況にもかかわらず、政府からは「今のところ解決方法はない」という無慈悲な方針が発表されており、このニュースを聞いた現地の人たちの気持ちを考えると、とても悲しい気持ちになります。
暑いのも大変ですが、寒さは一層命の危険性を伴うこともあり、今後政府が何も対応しないとなると、中国北部はかなり厳しい越冬になりそうです。動画のコメント欄に、興味深い書き込みがあり、その人によると「崩壊直前直後のソ連」の状況に似ているというのです。私は幼かったこともあり当時の報道は覚えてはいませんが、おそらく石炭など家庭用暖房器具の燃料が一時的に行き渡らず、多くの人が寒さに苦しんだ状況があり、そのことが日本の報道番組などでも取り扱われたのでしょう。
中国は、世界第二位のGDPを誇る経済大国ですが、貧富の差を含め、国内の情勢はまだまだ発展途上ということなのでしょうか。本当に台湾や周辺国へ圧力かけてる場合じゃないと思うのですが。
アメリカの天然ガス高騰に政府は石炭発電所増加で対応
一方アメリカでも、世界的に石炭や天然ガスの価格が高騰していることを受け、8年ぶりに石炭による火力発電量を増加させて対応させる方針であることがニュースになっています。
世界的に脱炭素を進めようとしているのですが、その影響もあってか石炭・天然ガスの値段が倍以上にまで高騰してしまっていて、各国対応に追われています。
アメリカでも中国と同じく、家庭用の暖房器具などにも影響が出てしまうため、政府は止む無く脱炭素に逆行することになるとしても、発電量を増加させて人々の生活を守る対策を講じたということになります。
地球温暖化への対策として脱炭素を進めることと共に、天然ガス価格が低下していたこともあって、2019年までの6年間は石炭による発電量は低下していたそうですが、価格の変動に伴ってその方針を変更せざるを得なくなったということです。
価格の変動で方針を変更するというのは、いかにも資本主義らしい利益追求の考え方です。天然ガスから石炭への変更も、利益を少しでも多く確保するための変更でしょう。エネルギーの供給も、利益がなければ成り立たないのが資本主義であると、改めて思い知らされます。
しかし、利益を追求しながらも、アメリカは国民の生活の維持に可能な限り対応をしています。この中国とアメリカの対応の差は、政府の考え方の違いでしょう。
人の命は重要。爆発的に増える人口と枯渇する資源
普通に考えると、人の命は何よりも尊く、優先して守らなければならないものです。
しかし、守るべき命が多いため、地球の全ての資源を使ったとしても、現在は守り切れるのかどうかが怪しい状況と言えるのではないでしょうか。枯渇する地球の資源を、お金のある国、お金のある政府が優先的に使用して、その国民の命を守るという、資本主義の悪い点が露呈しているようにも思います。
お金のない国の国民は生きることすら難しいと言えるのではないでしょうか。
爆発的に増えた人口は、既に70億人を超えており、私が生まれたころからすると倍以上になっているのです。世界の人口は、恐ろしい勢いで増え続けているのです。
問題なのは、直近ではまだ資源があり、現在生きている人々には影響が少なく、未来の人類にとっては致命的な問題ということでしょう。現在の倫理観や法律などでは、未来の人々が苦しむことになることをしても、特別罪に問われたりはしません。この問題を考えると、またホセ・ムヒカ氏の言葉を思い出してしまいます。
この消費主義社会の問題は、政治の問題なのです。
Amazonなどは海上輸送の燃料を2040年までに脱炭素
これら石炭・天然ガスの高騰に伴い、各国の対応が進められる中で、脱炭素に関連したニュースも並行して報道されています。
Amazonやイケアなど海上輸送で二酸化炭素を多く輩出している企業が、2040年の脱炭素化を目指して、段階的に燃料を変更していくと発表しています。
海上輸送の二酸化炭素の排出量は全体の3%程ですが、大きな排出量を抱える大企業が、これらについて具体的に方針を決定したことは、非常に素晴らしいニュースだと思います。もちろん、対応が難しい企業などは、この方針に追従することはできないかもしれませんが、世界的に大きな海上輸送を抱える企業が対応すれば、全体に対する効果は期待できるのではないでしょうか。
もちろん、二酸化炭素については、排出量を減らすのではなく、まったく排出しなくする必要があるため、いずれは小さな企業も対応を余儀なくされることになるでしょう。
一方アフリカの氷河は2040年までに消滅の見込み
海上輸送については2040年までに脱炭素化を進める方針が発表されたわけですが、同じく2040年までに進む地球温暖化の影響についてもニュースになっています。
それが、アフリカの氷河についてです。
アフリカには非常に高い山々があり、それらの高い位置には溶けない氷が多くあるのですが、それらの融解が進み、2040年までには全て消滅してしまうというのです。
地球温暖化が激しいのは主に北半球ということで、アフリカはあまり影響なさそうだと思っていましたが、思ったよりアフリカは北半球である事を改めて知りました。動画でも出てくるキリマンジャロについても、ほぼ赤道直下くらいに位置し、温暖化の少ない南半球とは言えない位置のようです。
同様のことが、もう少し北のアフガニスタンなどでは既に起きていて、もう完全に枯渇してしまい、雪解け水が流れていた川は干上がり、食糧難など様々な問題にもなっていて、日本人の中村哲さんが他の川の水を引き込み、食糧問題の解決に尽力されたことは有名です。
アフリカでも今後同じようなことが起きていくことになるのでしょうか。
各地で激化する気候変動 - インドも大洪水 -
2021年の夏は、日本でも多くの大雨・洪水の被害が出て、連日のようにニュースで被害状況を知らせる報道が行われていました。私の最寄りの川も氾濫直前まで水位が上がり、朝から晩まで水位をライブカメラで監視するほど緊張した日々を過ごしていたのを覚えています。
また、中国では夏だけでなく、最近でも台風などを含めて各地で多くの水害が発生し、国内様々な場所で多くの人が被災しています。
そして、インドでも水害のニュースがでています。
インドではインフラ整備が十分でないこともあるのか、毎年水害による被害は出ているそうですが、今年の報道で、科学者たちの見解では、温暖化や気候変動により頻度が高まっているというのです。
因果関係を明確に証明することが難しいのが気候変動への対応の困難な点ではありますが、有識者がそのような見解を出すということは、何らかそういった兆候があるのでしょう。
忘れてはならないのは、地球温暖化は気温が上昇するのが問題なのではなく、温暖化に伴って予測不能な気候変動が起きることが最も危険であることです。この水害を含め、頻発する森林火災やもしかしたら最近各地で起きている火山の噴火なども影響しているのかもしれません。何が関連しているのか、私たち人間の現在の科学力ですべてを解き明かすことはできないのです。
まとめ - 環境問題の報道が増加する2021年 -
石炭や天然ガスの価格が高騰し、各国でエネルギーに関する問題がでていることも大変な事態ではありますが、それにしても2021年は本当に多くの自然災害のニュースが報道された印象があります。
気候変動や地球環境問題に起因する自然災害と報道されることが多くなったのが特に印象的です。
それにしても今年の冬は寒いです。執筆時点は2021年10月ですが、気温は既に11月下旬並みとのことで、執筆している手が震えてきます。地球温暖化が進んでいるのに寒冷化しているではないかという意見をお持ちの方もいるかと思いますが、それについても別途記事にしていますので、是非参考にしてみてください。
この記事で、もっと多くの人が地球環境に関する問題について興味を持ってもらえることを期待しています。
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