2021年10月6日水曜日

ホセ・ムヒカの消費主義社会への問題提起から考える

event_note10月 06, 2021 editBy Fluffy Knowledge forumNo comments

環境問題の根源は消費主義社会である


今回は、非常に考えさせられるテーマを記事にしてみます。

私自身は、地球温暖化・気候変動について非常に関心を持っています。この問題については、長く国連などの国際組織でも対策が議論されているわけですが、非常に話題となったスピーチがあり、知っている人も多いかもしれませんが、是非多くの人に見て欲しいとも思い、ここで紹介しようと思います。


動画は日本語訳されていて、非常に理解しやすい、ゆっくりとした口調で、字幕もありますので、考えながら視聴することができます。ホセ・ムヒカさんが、環境問題の根源は、消費主義社会を形成している政治にあるのだと、新たな視点で問題提起したことで、非常に話題となりました。




ホセ・ムヒカという人 - 世界一貧しい大統領 -


色々と考える前に、基本情報としてホセ・ムヒカさんについての情報を整理してみることにします。

ホセ・ムヒカ氏は、2010年から2015年のウルグアイの大統領です。報酬のほとんどを寄付されていて、月に1000ドル(約10万円)程度で生活をしていたことでも知られています。



ウルグアイというのは、南米の小さな国で、農業や畜産が盛んで、食料の輸出国として、豊かな国です。ただ、南米では2番目に国土が小さな国でもあります。人口は300万人を少し超える程度で、日本の東京の人口が1400万人なことを考えても、非常に規模の小さな国であることが分かります。

ホセ・ムヒカ氏は、報酬を受け取らず資産も殆ど持っていないため、「世界一貧しい大統領」と呼ばれることがあるようです。

考えるべきは消費社会の在り方であるという問題提起


ホセ・ムヒカ氏は、現在の消費社会の在り方自体に対して疑問を投げかける形で問題を提起しました。国連の会議でのことだったため、彼の名前は世界的に知れ渡ることとなります。


彼は、今我々が行っている経済活動を含めた生活自体が問題を抱えていることに気づくべきだと主張します。

最も裕福な西側諸国と同じレベルで、世界人口の70億80億という人が消費をすることが許されるとしたら、その時に地球の資源はそれを支えられるのかというのです。

これはまさにその通りで、この問題については私も常々同じように感じています。

ドイツが持つ車をインド全人口が持ったら酸素は足りない



消費社会の例として放たれる言葉には、先進諸国への攻撃的な側面が感じられます。

しかし、これは先進国としていち早く産業革命以降未曽有の発展を遂げてきた西側諸国が本気で考えなければならない問題であると、改めて痛感させるには十分な言葉です。

今現在、日本人を含めて裕福な消費社会で幸せに暮らしているのは、世界的にみると「ごく一部」の社会であって、世界的な標準ではありません。我々日本人を含め、西側諸国とされる自由経済・民主主義といった価値観を持った国によって、地球資源を煩雑に乱用して裕福な暮らしを得ているとする考え方です。

これは非常に耳が痛いことです。

つまり、我々が率先して地球環境を壊していっている、と間接的に指摘されていることと同じことだからです。生まれた時からこの裕福な環境で育ってしまったため、なかなかこの発想には至ることができませんが、我々はこの考え方にもっと注目し、世界を冷静に見つめなおす必要があるはずです。

私見 - 新型コロナワクチンのブーストについても同じ感想を抱く


まったくの私見ですが、似たことを感じましたので、ここで記載しておきます。


新型コロナウイルスのワクチン効果が薄れてきたことを受け、3度目以降の接種を進めることを、ブーストと言い、主に先進国で執り行われています。

しかし、これは先進国が地球資源を優先的に利用している典型だと感じていて、世界の中にはワクチンが行き届いていない貧しい国や団体がまだまだあるという状況の中で、裕福で物資も十分ある国だけが、先んじてそのようにワクチンを利用しているのです。

確かにブースト接種をすることで、その人の安全性は高まるでしょう。

ですが、その時に考えないのでしょうか。このワクチンをまだ接種できていない方々へ届ける方法や、接種できずに苦しんでいる人たちの姿を。

このワクチンのブースト接種と、ホセ・ムヒカ氏の車の例は、非常に似たものを感じます。

我々日本人は、日本に生まれ育ったからという理由だけで、地球上の他の人々を苦しめ、我々だけが幸せになっていっているのだという自覚をもっと持つ必要があるでしょう。きっとそれは、日本人は働いているからと正当化する反論があることでしょう。

資本主義というある種宗教の様な洗脳が、絶対的に正しいと考えてしまっている限り、この思考の間違いには一生気づけないことでしょう。私も何が正しいのか正解は分かりませんが、自分の考えが必ず正しいのだと妄信することだけは止めたいと、心の底からそう思います。

環境問題の根源は政治にある - 資本主義経済 -


続いて、資本主義という経済思想についても言及していきます。

資本主義というのは、元来商品を売って利益を得るという自由な経済なわけですが、このことから「長い寿命の電球は作ってはいけない」と指摘されます。


何故なら、一度電球を作った後に、二度とその商品は売れることがなく、資本主義経済としては成り立たなくなってしまうからです。つまり、寿命が短い商品を開発し、次々に商品を販売して利益を生み出す必要がある、その資本主義の在り方自体が問題なのだと主張しているのです。

そして、我々西側諸国という国は、その経済構造が正しいものとして、世界的に広める「グローバリズム」を進めてきています。しかし、その結果我々人類は、消費をコントロールするのではなく、消費にコントロールされる世の中を作り出していると指摘します。

この事は、資本主義・社会主義を含めて、政治や経済活動など全てにおいて、我々人類が正解にたどり着いたわけではないことを、改めて考えさせるには十分な指摘です。

まとめ


この動画、ホセ・ムヒカのスピーチを見て、感動したという感想は見当違いだと感じます。

この動画を見て、地球環境問題を考えている我々も含め、すべての人類が今一度「人は何処へ向うのが最善なのか」をよく考えるべきだと思うのです。

ホセ・ムヒカ氏も「石器時代に戻ろうというのではない」と明言されていますが、その通りだと思います。技術開発をして、人々が安全で健康な生活を育めるようになっていることは、人間の文明において評価されるべきことなのは間違いありません。

ただ、消費を促すことで利益を得る資本主義社会については、もう少し考えるべきことがあるでしょう。今現在の経済思想では、地球環境に貢献するよな商品を作っても、それは評価されるかもしれませんが、その人の生物としての人間生活において何の足しにもならないのです。それが資本主義の在り方であって、この問題を解決するための方法を、経済学者だけでなく、皆で知恵を出し合うことが出来るような社会体制づくりこそが、我々先進国が率先して取り組むべき問題なのではないでしょうか


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