2021年9月8日水曜日

GHQに禁止された「八紘一宇」は平和思想と考える

event_note9月 08, 2021 editBy Fluffy Knowledge forumNo comments

皆で一つの家のように!


現代に生きる日本人の多くは、「八紘一宇(はっこういちう)」という言葉を知らないでしょう。私も勉強するまでは知りませんでした。

しかし、最近の私は地球全体の環境問題とか温暖化とかに興味があって、どのように世界各国が歩みを揃えてこの問題に取り組めばよいのだろうと考えたりする時間が多くなっています。

そんな中で、よく思うのが、国は違えど同じ地球に住む人間として協力したい、という根本的な気持ちです。そんな思いの中で出会ったのが「八紘一宇」という言葉です。


「八紘一宇」とは


八紘一宇とは、日本書紀からの引用で、「天下を一つの家のようにすること」とされ、八紘為宇とも表記されます。

この考え方は、広い意味では冒頭で述べたように、地球規模で一つの家族となるという意味に取れ、非常に平和的で温かいイメージに感じます。まさに私が思う「国境のない世界」のイメージそのままで、この言葉が現在使用されていない、日本国民皆が知らない状態になっている、そのことに疑問を感じました。


画像は、宮崎県の平和台公園にある「八紘一宇の塔」と言われるもので、初代天皇である神武天皇が東征するまでの間皇居にしていた土地ということで、1940(昭和15年)に、この地に建てられたようです。

この「八紘一宇」という言葉には、「天皇総帝論」という極端な解釈があり、これは日本の天皇陛下が世界の頂点に位置し、その体制で世界が治まるというものになっています。この考え方は、特に国家神道が浸透していた戦時中の日本では広く受け入れられたようです。

1940年の流行語「八紘一宇」


日本史において、「八紘一宇」という言葉が登場してくるのは、2・26事件や、公的なところでは第一次近衛内閣の時代、1937年(昭和12年)に発行されたパンフレットの「八紘一宇の精神」などがあるようです。

これ以降この言葉は広まっていき、1940年には流行語にまでなりました。
上述の「八紘一宇の塔」という建立物も、この頃に建てられています。

「八紘一宇」は日本の教育の基本とされると共に、大東亜共栄圏の構想における、根底を担う考え方として利用されました。つまり、国家神道に「八紘一宇」の考え方を合わせることで、他国への侵略行為の大義名分・正当化を行ったと考えるのが自然でしょう。

日本書紀を編纂した人の気持ちは知る由もありませんが、元来そういう意味ではなかったはずなのですが、民意をうまく誘導するために利用されたのでしょう。

GHQによって禁止


しかし、戦後日本がGHQによって統治された際、神道指令と共に、この「八紘一宇」についても使用を禁じられることとなります。本来の意味・解釈は関係なく、侵略戦争に向かう危険性のある考え方、と判断されてしまったことになります。

それにしても、私の疑問に感じるところ、調べていくと多くのことが、戦後GHQによって規制されたものであることが多いように思います。この「八紘一宇」だけでなく、日本の「無宗教」なところや、「地政学」の学問についてなど、本当に多くのものが封印されています。



しかし、普段の生活においては不便を感じることもなく、日本に対する研究が本当によく行われていたのだと感心します。

確かに、戦前と戦後で糸が繋がらず疑問に思う事象がでてきたりしますが、国としての日本は存続し、危険な思想だけを封じ込めることに成功しているからです。もちろん、危険ではない、伝統的な部分まで一括りで封印されている事項があるのも否めませんが、危険な可能性がある要素は禁止せざるを得なかったのではないかと、戦勝国側の立場になって考えると理解できます。

世界には国境線はない


「宇宙からは国境線は見えなかった」

こう語ったのは、日本人宇宙飛行士の「毛利衛」さんで、この言葉は非常に有名です。私は当時幼かったこともあり、この言葉の本質を理解していませんでしたが、今は本当に共感できる言葉です。素晴らしい言葉、感性だと思います。


本当に、世界中の人が毛利さんのような感覚で地球をとらえていれば、様々な問題も起きないだろうと思いますし、そんな世の中を願わずにはいられません。

中国の戦略「一帯一路」と「八紘一宇」


執筆時点(2021年)に中国が推し進める「一帯一路」について考えてみます。



この考えは、「中国からヨーロッパを目指して西へと進みながら、巨大な経済圏を構築しようと」いう構想です。

この経済圏を構築する、西へ進む、という方策に軍事的な意味が含まれないのであれば、これは非常に有意義なものだと感じるのです。「国」の概念に縛られず、皆が繋がって一つの経済圏として協力できるような体制が構築できるのであれば、それは所謂「八紘一宇」的な考え方だと思うからです。

この考え方は、西欧諸国が固まった「EU」の考え方に近いように感じるのです。

私個人としては、日本が中心である必要はなく、中国を含め、諸外国と損得抜きで協力できる関係が構築できればよくて、そのために日本が歩み寄れる部分、中国が歩み寄れる部分を模索するのは非常に建設的なのではないかと思うのです。

中国の問題点


しかし、現在の中国の方針には決定的な問題があり、そのことが諸外国との摩擦を生んでいます。

それが、「人権問題」と「軍事力による抑圧」でしょう。

特に、新疆ウイグル自治区やチベット自治区に対する宗教弾圧や人権侵害、香港に対する政治的な抑えつけは、世界的にみてもとても容認できるものではありません。ただし、これは世界的に報道されている情報や、日本在住のチベット出身の方の証言に基づいた感情であって、真実は分かりません。つまるところ、中国はそういった世界的に騒がれている各問題について、「説明」する必要があると考えます。彼らとしては、「問題は捏造」としており、一切の情報を公開しませんが、それではこの「不信感」は高まるばかりです。西側諸国の殆どが批判している現状をどのように感じているのでしょうか。



また、一帯一路に含まれる諸外国に対して、軍事力やCovid-19のワクチンなど、相手国が断ることが出来ないような抑圧的交渉で、中国が有利となるような、相手国に選択権がないような交渉で進めている点も問題でしょう。日本に対しても、尖閣諸島に対する一方的な中国海警局による領海侵犯など、お世辞にも平和的とは言えない手法であり、高圧的です。

こんなやり方で諸外国に理解を得られると思っているのか、甚だ疑問です。この方法では、いつか取り返しのつかない摩擦が、中国に対する不利益の形で現れることは明確です。

旧ソ連のゴルバチョフ大統領が行った「グラスノスチ」が、どれほど素晴らしかったのかを痛感します。

まとめ


世界が一つとなって、一丸となって地球規模の問題に取り組むという意味で、「八紘一宇」について色々思うところを綴ってみました。

中国の一帯一路構想は、部分的には納得・共感するものの、中国政府に対する不信感・不透明性はやはり拭えません。各国が自分の利益だけを追求せず、地球全体を大きな家として考え、協力できるような世の中を、切に望みます。

今回は分かりやすいところで中国の例を挙げていますが、その他の国際紛争地や、先進国全体も含め、そのように思っています。本記事において、特定の国を批判しようとか、そういう意図はありません。



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