2021年9月13日月曜日

永世中立国スイスの鉄壁の防御

event_note9月 13, 2021 editBy Fluffy Knowledge forumNo comments

 スイスの国防戦略に驚く

スイスは、200年以上もの長い間戦争に巻き込まれず中立を保っているヨーロッパの国です。


ドイツ・フランス・イタリアという、ヨーロッパ先進諸国に囲まれている中で、どのようにして中立を保っているのでしょうか。世界中が平和になればいいなぁという漠然とした思いから、学校で習った平和のイメージがあったスイスという国を思い出し、調べてみると、その実態に驚かされることになりました。

永世中立国 = 平和主義ではない


スイスは永世中立国として有名ですが、平和主義という訳ではありません。彼らは「武装中立」を国是としていて、驚異的な軍事力を保持しています。世界大戦中は、領空侵犯を行ったドイツ軍とも連合国軍とも交戦しています。


そもそも永世中立国とは何か、というところから掘り下げていってみることにしましょう。

永世中立国とは


永世中立国とは、「自ら戦争を始めず、多国間の紛争にも介入しない国」という意味です。確かに読んで字の如しという感じです。



つまるところ、他の国と同盟をしたりせず、孤高の一匹狼でいることにより、他の国の戦争に巻き込まれることを防止しているわけです。なので中立国、という訳です。合わせて、自国からは戦争を開始しないということなので、自分たちから戦火が広がることはないわけです。


面白いのが、これはスイスが自ら「私たちは永世中立国です」と宣言したのではないようです。他国からそのように扱われ始め、スイスなら中立であるだろうという行動を予測され始め、それが定例化して今に至るようです。確かに「永世中立国」という法律や決まりなどはなく、名目上そのように「認められた」だけということになります。

ですが、そんな中立国ではありますが、他国から侵略されることは十分あり得ます。

そのため、自国を守る防衛戦力は必要となり、そういう意味での「武装中立」なのです。

防衛戦略の凄さ - 国を要塞化


そしてその防衛戦略が、国全体をまさに要塞化してしまうような驚異的なもので、スケールが全く違います。日本のような平和主義で、防衛は自衛隊任せというのではなく、国全体が自分たちを守るという確固たる集団となっているのです。

天然の要害


スイスは、国土の南を「アルプス山脈」、北を「ジュラ山脈」に挟まれる形になっていて、その中間部分の高原地帯に多くの国民が居住しています。


フランスやドイツといった北側の国は、スイスに侵入するとなると「ジュラ山脈」を超える必要があり、南側の国イタリアは、世界的に有名な「アルプス山脈」を超えなければなりません。

また、高原にある市街が占領されたときのために、町中にある橋やトンネルなどは、爆破するなどで使用不能とする準備が整っています。もし市街が占領されてしまった場合、この天然の要害に籠ってゲリラ作戦を展開します。山脈には万を超す砲台などが設置されています。

徴兵制


スイスの全ての男子は、兵士としていつでも戦えるように定期的な兵役・訓練を行います。


20万人の兵士を72時間以内に配備可能とされています。日本の自衛隊の人数と同じくらいですが、スイスは国の人口が850万人程です。1億2千万人の人口を抱える日本と同じ数の兵士がいると考えると、15倍程度の規模感です。

寄せ集めの民兵のようなものではなく、国民皆兵隊といった趣でしょう。

現在は様々な議論が行われ、この緊急配備可能な20万人の兵士を減らそうという動きがあるようです。

驚異的な核シェルター


スイスには核シェルターがあります。
しかし、この規模はもう驚くことしかできませんでした。


なんと人口の110%以上の収容力を持っているのです。つまり、全国民が入っても余裕があるほどの規模なのです。人口が1億人を超えている日本ではちょっと考えられません。まぁ850万人でも考えられないのですが。

また、シェルターから通じる地上には、普通の建物のように見える地上砲台施設など、防衛設備が国中に散りばめられているのです。

まとめ


今回取り上げた内容を、素晴らしくまとめられている動画がありますので、以下に紹介しておきます。



また、少し話は逸れますが、スイスの報道機関が行っている秀逸なサイトがあったので、ここに貼っておきます。スイスに興味のある方は、日本語も提供されているので、見てみてください。



今回は、ちょっとした興味からスイスについて調べてみましたが、まさかこんな軍事国家だったとは思いませんでした。島国日本とは違い、陸続きの内陸国で、隣国が強大な国だと、国防についての根本的な思想が違うのだろうと思い知らされました。

スイス程でないにしろ、日本の防衛については次の政権でしっかりと現実を見据えた政策を行ってほしいと思うばかりです。


0 comments:

コメントを投稿