性産業の必要性について真剣に考える
とても興味深い動画を見つけました。
丁度1年前(2020年の9月)に投稿されているABEMAのチャンネルの動画です。同チャンネルでは、様々な社会問題などに対して、有識者などを交えながら討論し、その様子を動画として多く提供しています。興味のあるものないものありますが、内容によっては非常に考えさせられるものもあります。
今回取り扱うのは、普通の報道番組や地上波のテレビなどでは扱うことが難しそうな「性産業」についてです。とても白熱した議論が行われており、それぞれの主張も理解できますが、私自身の中で真剣に考えた結果をまとめてみます。
コロナ禍での持続化給付金について
上記動画の根本的な論点は、コロナに関連して、政府として産業を支援するための「持続化給付金」を支給する決定をした中で、「性産業に対しては対象外」とされ、それに対して訴訟問題に発展している件についてです。
「国民の理解」という抽象的な尺度で「職業差別」をしたと訴えているのです。
論争の中で納得したのは、コロナ禍の中でも持続的に政府が後押しが必要と判断した産業に対しての持続金であるという点でしょうか。明らかにコロナ対策としての密にならないようにする方針とは合致しない産業である性産業を、この時期の持続化を名目にした支援が必要だとは私も思いません。
つまるところ、対象外にしたのは問題ではないですが、「国民の理解」とかいう曖昧な表現ではなく、「支援が必要と考える産業を対象」といったような表現であればよかったのでしょう。そこまで考えてなかったのかもしれませんが。
性産業従事者は「搾取」されているのか
また、動画内の論争では、性産業に携わる方々が、生活のために止む無くその職業を選んでいるという決めつけが進み、選択の余地がなかったことからそれを「搾取」と決定づけ、ヒートアップします。
余りの脳の回転の悪さに並行し、実はこのあたりで一度視聴を止めました。何も見えていない、見ようとしていないなと。
そもそも論ですが、基本的に皆「生活のために」働いているわけで、その仕事がやりたくてやっている人の多くは起業家や社長業などで、それ以外は「生活のために」している仕事に付随して「生きがい」や「楽しさ」を見つけていることでしょう。それは、我々が住んでいる社会の構造上しょうがないことなのです。
「搾取」とはまた横暴な言葉で、多かれ少なかれ、人を雇っている人は「搾取」する側です。「搾取」だからダメとか、これはもう資本主義全体を否定してしまっていてお話になりません。
資本主義はそもそも「搾取」する仕組み
ビジネスというのは、需要があって、そこに対して供給側があり成り立つものです。資本主義の根本は、それを自由に商売・産業として成り立たせることを許している政治形態です。
その上で、需要を察知した起業家が、供給するための仕組みを整え、従業員を雇い、対価を支払うのです。つまり労働力に対する支払いを行うわけです。
「搾取」というのはそれを雇用側が有利になるような不当な状態で働かせる状態で使われ、論議の中でもその意味で使われているという認識です。ただ、不当な状態、つまり「搾取」している企業は、資本主義の構造上、同業他社に従業員を奪われ、結果として徐々に淘汰されざるを得ません。
今回論点にある「性産業従事者」も、その道しかない(選択肢がない)とされましたが、同じ経営構造(搾取構造)の企業しかないなんてことはないでしょう。残念ですが、性産業 = 搾取理論は通常の思考回路ではたどり着けません。
確かに原資が「肉体」で、成果物もないため、通常の仕入れや販売価格の設定など、難しいところもあるでしょう。環境構築や、運営費用、担当従業員の給与などと見込み客などから計算し、十分な価格設定をすることでしょう。その上で、その給与体系で「納得しているから従業員契約している」のであって、これが「納得していない = 搾取という認識」なのであれば、これは強制労働とかその類ですね。団体交渉権もありますし、改善する行動をするかどうかもその人次第です。
共産主義(社会主義)における性産業
こうやってみると、資本主義というのは「搾取する側」と「搾取する側」であると再認識させられる訳ですが、そんな酷い世の中を改善しようと考え出された理論がありましたね。みんな大好き「共産主義」です。
実際に共産主義を国家として成功させた事例はなく、どの国もその道中として「社会主義」で国家を掲げている訳ですが、ふと疑問に思ったわけです。社会主義国って性産業はどうなっているのだろうか。
性産業も計画経済しているのだろうかと。
実際いくつか調べてみましたが、基本的に「全面禁止」となっているように見受けられました。つまり闇営業なのでしょう。北朝鮮では、そもそもミニスカートもダメとか言ってる始末ですし。
産業としての必要性
また、過激な思想ですが、「そもそも性産業自体が不要」という意見も散見しますし、動画の論争にもなっていました。色々考えさせられますが、私個人は「必要」と思っています。いや、無くせないものだろうから、安全性などを考慮して、国としては容認するくらいの方針がよいだろうくらいのニュアンスです。
精神疾患などの諸問題
性産業に携わった方が、精神的な問題を患ったりと、苦しい状況にあるとのことでしたが、それは他の仕事でも同じで、何なら整備が行き届いていない産業に従事していた方が亡くなられたりとか、色々な問題を乗り越えてきて、今は安全性がある程度担保されている業界なんて山ほどあります。
そういう意味では、問題があるならばその問題を解決するべきであって、産業自体をなくす方向に動くのはどう考えても建設的ではありません。産業としてなりたっているのは、上述の資本主義的なところでいう「需要」と「供給」が成り立っているのです。
モラルや宗教上の問題とか、それらを理由とするならば分からなくもないですが、携わった人の病気などを理由にするのは、経済的な観点からは正しくないでしょう。
福祉の問題とは思えない
面白いのが、動画内で性産業廃止を推す方が、その代わりに「福祉」とか「教育」に充てると自論を展開していることです。分からなくもないですが、明らかに見当違いでしょう。
何度も同じことを言いますが、需要がなくならない以上、禁止したところで、どこかに歪が現れてきます。教育で性行為自体が悪とでも洗脳すれば別かもしれませんが。
歪がどこにでてくるのかは、パッと思いつくのは性犯罪です。ちょっと調べただけでも類似したことを考えたり調べたりしている情報がでてきます。以下の記事でまとめているデータによると、1999年にスウェーデンでは実際に性産業を禁止し、結果現在世界ワースト3位の性犯罪大国になっとのことです。日本人で分かりやすくまとめている方がいらっしゃったので、そのサイトもリンク置いておきます。
上記サイトの元となっている海外のWikipediaにまとめられている性犯罪について、更新も含めてご覧になりたい方は以下からどうぞ。
元の情報ソース(英語) : Rape Statistics (Wikipedia)
「廃止しても潜るだけ」は明らか
性犯罪が増えるという仮説を暴論とする場合でも、失われた供給元を埋めるために、結局非合法な闇商売が乱立し、それを法で取り締まるというイタチごっこが始まることでしょう。
何故かは言うまでもありません。
何せ「性欲は人間の三大欲求の一つ」なのですから。
そして法の締め付けが強まれば抑えつけられた欲求がどこに向かうかは、想像したくありません。そういう意味でも、あまり欲求の圧が溜まらない程度には、ガス抜きする産業は必要だろうと思うわけです。
売春防止法は売春者を保護する法律
ちなみに、ここまで性産業に対して肯定的な意見ばかり羅列していますが、日本には売春防止法など、性産業に関する法令も沢山あります。
ですが、これら法令は基本的には性産業従事者(売春者)を保護する目的で制定されていることをご存じでしょうか。そのため、売った本人が罪に問われることはなく、不特定な対象に対して「あっせん」するなどが刑罰の対象となっています。詳しくは以下をどうぞ。
つまり、日本国としては、性産業を認めており、違法性もない。ただ、持続化給付金の事からも、あえて支援したり活発化させようという意図はない、というスタンスと取って間違いないでしょう。そのくらいでいいんじゃないでしょうか。
まとめ
性産業・売春については、国ごとに本当に様々で、資本主義的なところで産業として認めているところもある一方で、倫理や宗教などの関係で認めるわけにはいかない(闇営業は黙認)のような国、完全に禁止して厳罰まで、本当に様々です。
社会としてはこの欲求・需要を理解した上で、その対策をどうするのかをしっかりと見極める必要があるように感じます。
個人的には、何度も書きますが、肯定派です。安心安全な世の中がいいです。
そういう意味では、現在のような日陰的な扱われ方ではなく、もっと健全的で一般的な扱いになるくらいの方が良いのかもしれません。なんかちょっと妖しいくらいが儲かるのかもしれませんが。
古代バビロニアでは、性産業は神聖なものとして扱われていたとも聞きます。そこまでじゃなくとも、もっと社会的な地位だったり、認識を改める必要があるように感じます。それこそ、ユダヤ人の金貸し業が、キリスト教で禁止されていて卑しいとされたことと、何が違うんでしょうか。
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