2021年9月15日水曜日

GODIVA伝説 - 裸の女性が街を一周

event_note9月 15, 2021 editBy Fluffy Knowledge forumNo comments

自己犠牲の象徴 - GODIVA夫人


今回の記事は、歴史に関するものですが、身近なものなのに、意外と知られていないのではないかと思い、取り上げてみます。


上記画像は、1898年ごろにジョン・コリアさん作とされる絵画で、11世紀イングランドにいたLady Godivaの伝説を描いたものです。甘いものが大好きな方はもう気づいたかもしれませんが、この伝説はチョコレートで有名なGODIVAのロゴにも使用されているのです。

チョコレートメーカーのロゴ


私もチョコレートは大好きですが、特にGODIVAのチョコレートは何となく特別な時に贈ったり食べたりしたくなる印象です。そんな印象からか、何か幸せな記憶と連動している気がします。


このGODIVAというのは、ベルギーで創業されたチョコレートなどを製造・販売するメーカーですが、現在はトルコのウルケル・グループの傘下とのことです。ベルギー王室ご用達と言われるだけあって、高級感のあるブランドとして世界的に有名ですね。

日本語では「ゴディバ」とされますが、英語ではどちらかというと「ゴダイヴァ」、フランス語では日本語に近く「ゴディヴァ」と発音するようです。

そんな会社のロゴ(上記画像の壁面)が、今回取り上げるゴディバ夫人になっています。

地方領主夫人の自己犠牲


Lady GODIVA(ゴディバ夫人)は、イングランドのコヴェントリーという街を治めている領主レオフリックの夫人でした。


レオフリックは、領内に重い税をかける所謂「圧政」を行っていました。領民に対して情け深い夫人は、そのことを諫め、税を軽くするよう懇願します。

この事に腹を立てたレオフリックは、夫人の偽善を暴くつもりか、できもしないと考えられる「条件」を突き付けます。なんと、愛する妻に対して「裸で馬に乗ってコヴェントリーの街を一周したら要求を受け入れる」と言うのです。

その言葉を受け、Lady Godivaは迷いながらも決断します。

裸で馬に騎乗して街を一周


裸で街を行くことになった噂は町中に広がり、Lady Godivaへの感謝・恩義から、町中の人たちは「絶対に街に出て裸を見ないように」と示し合わします。

恥ずかしさに耐えながら、馬に乗って街に出たLady Godivaは、いつもは人通りが賑やかであるはずの町に、まったく人気がないことを知り、町の人たちの優しさに涙します。そして、見事に約束を果たし、レオフリックは約束通り圧政を緩和したとのことです。


この伝説を元に、現在もコヴェントリーの街には、Lady Godivaの像が建てられています。この像はLady Godiva Statue(ゴディバ夫人像)として親しまれていますが、正式名称は「Self Sacrifice(自己犠牲)」です。

まさに自己を犠牲にすることで他者を救ったという、素晴らしい伝説です。

Peeping Tom (覗き見)


また、この伝説のサイドストーリーとして、ピーピング・トムのお話も有名です。

街の皆が示し合わせて裸を見ないようにしていた中で、トムだけはその約束を無視して、裸のLady Godivaを覗き見したとされます。現在では、覗き見の俗語としても残っています。日本語では「出歯亀(でばがめ)」に相当します。


恐ろしいのが、この覗き見をしたトムさんは、後に視力を失ったとされていることです。天罰か、あるいは街の人たちの手によってかは定かではありませんが、穏やかじゃありませんね。

まとめ


今回取り上げたLady Godiva(ゴディバ夫人)のお話について、分かりやすくYoutubeで動画解説されているものがありましたので、紹介しておきます。(動画内ではコディバとされています)


とても心温まるお話で、人の上に立つものが皆このように暖かい人ばかりであれば、人の歴史も平和なものであったことでしょう。チョコレートは知っていて、何度も食べたことがあったのですが、このお話は知らなかったので正直驚きました。

最後にもう少しだけ。

GODIVA伝説は歴史家には否定されている


どうやらゴディバ夫人と言うのは実在はしていたそうですが、イングランドの歴史を紐解いていくと、イングランドがノルマン人により征服された後もゴディバ夫人は記録が残っていますが、その際既に夫のレオフリックは死去していた可能性もあり、この伝説は史実ではないとする見解が有力なようです。

個人的には、この見解はある程度仕方のないことかなとも思います。

ですが、日本には「火のない所に煙は立たぬ」という言葉があるように、この伝説は大小違いはあるかもしれませんが、類似した行動があり、それにある程度の脚色を加えて言い伝えたのではないかと思っています。当時のことを完全に知ることは叶いませんが、こんな素晴らしいお話ですし、嘘と切り捨てず、是非後世まで人の優しさの象徴として伝えていきたいものです。




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