2021年9月10日金曜日

反出生主義と反ワクチンの共通項

event_note9月 10, 2021 editBy Fluffy Knowledge forumNo comments

反出生主義と反ワクチンの共通項


執筆時点は2021年9月です。

日々新型コロナウイルスの問題が報道され続け、日本の自民党総裁選挙に関しても、必ずコロナウイルスへの対策が絡んで注目されています。

そんな世の中ですが、最近知った反出生主義と、反ワクチンの方々が同じような論理で語られていることに気づいてしまいました。どちらも納得でき、現代の特に日本人の倫理上は否定が難しいように思います。

根本的には「幸福はなくても許される」「不幸はあったら許されない」という非対称の関係性にあるようです。


反出生主義は、日本だけでなく世界的にも「antinatalism」として注目されており、イギリスではその思想を基にした政党も存在しています。インドでは子が親に対して賠償の訴訟を起こすまでに発展しています。


反出生主義とは


反出生主義は、「人が生まれない方が良い」「人は緩やかに絶滅するべきだ」として最近注目されている思想のことです。


様々な人が色々な理論でこの思想を展開しているわけですが、基本「1. 人は一定確率で(病気などで)不幸に生まれる」か「2. 人生には幸福と共に不幸がある」という構造があります。

1. は、ロシアンルーレットとも呼ばれる理論で、誰かが不幸になる可能性がある行動(出産)は、行うべきではないとします。

2. は、仏教でいうところの、解決できない「老い・死」というものについて、人が生まれなければその苦しみも生まれないという解決です。

どちらも共通して言えるのは、「不幸は許されない」という考え方で、反論である「幸せもいっぱいあるよ!」というのは届きません。なぜなら一部の幸せの人のために、一部の人が不幸になることを許容する、ということになるからです。

ロシアンルーレットの表現に感心


ロシアンルーレットとはいい表現をしたな、と感心します。


鉄砲を頭に当てて、弾がでなければセーフ、運悪く弾がでたら死ぬ、というゲームで、アニメや映画などでも時々目にします。こんな非人道的な行為は禁止するべきでしょう。現代の感覚でいえばそうなると思います。

出産も、生まれてくる子供が不幸になる可能性があるのであれば、このロシアンルーレットと何も変わらない、とされると、何と反論したらいいのでしょうか。

だからそうならない様に、科学の発展や社会の制度を良くしていっているのだ、でしょうか。それが完成するまでの間は、涙を呑んで一部の人は射殺されろ、ということですよね。それでいいのでしょうか。分かりません。

反ワクチンとは


一方反ワクチンの方々についても同じようなことが言えるでしょう。

ワクチンの接種は、世界的に推し進められていますが、この広まっているワクチンは、安全性は確認されたとしつつも、これまでの人類史上にない素早い開発・拡散となっており、治験期間の短さや、実際に接種後に亡くなられた方もいるなど、危険性が完全には否定されていません。


画像は適当にネットの画像検索で出てきたもので、反ワクチンを推奨するような意図はありません。

つまり、ワクチンを接種すれば「感染時の症状を緩和する(幸福)」「ごく稀に死亡したり、以降の人生に影響が出る可能性がある(不幸)」を天秤にかけ、幸福がないことは許されるが、不幸は絶対に許されない、とする理論です。

この理論を「感染後に身近な人に対する迷惑を考えろ!」と迫って、しぶしぶその方がワクチンを接種したとしましょうか。その方がもし亡くなられた場合、あなたはどうしますか?

そういうことだと思います。


反出生主義と反ワクチンは「不幸は絶対NG」の倫理観


我々人類は、長い間科学・宗教などを始め、多くの考え方を深化し、最も良いだろうという「倫理」に基づいて行動しています。

この倫理感というのは、時代を経ていくにしたがって成長し、より良いものになっていると感じますが、歴史を振り返ってみると、今からは想像できないような酷い倫理観であったことも多くあるわけです。しかも、それが遠い昔ではなく、ホンの数十年とか百年程度であってもです。

産業革命後の植民地政策などは、今から考えたら非人道的でありえませんが、当時は世界的には普通の事でした。現代では倫理観も世界的に洗練され、そのような行為は皆で行わないように共通の認識となっています。

この「幸福はなくてもOK」「不幸は絶対にNG」の倫理観をどのように解消するのが良いのかは分かりません。ですが、この不釣り合いが解消されなければ、反出生主義や反ワクチンの思想を止めることは難しいでしょう。

まとめ - 反出生主義と反ワクチンに対する私見 - 


最後に私自身の考えも少しだけ記述しておきます。

「反出生主義」については、理解はできますし、我が子に対する責任感や考え方も少し変化しました。少なくとも私がこれから先子供を作ることはないでしょう。

ただ、「緩やかな絶滅」が本当に良いのかどうかはまだ分かりません。もう少し色々なことを考えてみなければならないと思っています。正直、人口は減った方がよい、とは思っています。しかし、これは幸福・不幸とかではなく、地球温暖化を始め環境問題の観点からです。ここ数十年の人口爆発は、人類の歴史から見ても本当に異常だと考えます。

「反ワクチン」については、基本的に同意です。

私自身も皮膚の病気に長く悩まされているのもありますが、過去にインフルエンザのワクチン接種で高熱を出して会社を休んだ上で、さらにインフルエンザにかかって会社に迷惑をかけるということもあり、それ以降ワクチンを接種しないことにしていました。社会的に摂取すべきという流れでもあり、在宅で殆ど人と接種しない私も打つべきだろうとは思ってはいますが、もう少し後でもいいかな、くらいに思っています。予約を取ってまで摂取したくてもできないような、困っている方が多い中で、ほぼ人と接点のないような私が割り込んでまで摂取しなくてもいいかな、という気持ちです。

反出生主義にしても、反ワクチンにしても、議論することは非常に良いことだとは思いますが、どちらも非建設的な罵倒するだけだったりデマを流布するだけの人だったりと、リテラシーの欠片もないような人が散見されるのが非常に残念だと思います。

少なくとも、ワクチン推奨派の人も反ワクチン派の人も、自分の意見を相手に押し付けるのはやめておいた方がいいでしょう。動画のコメントなどを見る限りですが、反ワクチンの方の方が大体冷静で、公平な意見を言われている印象です。上記動画のように、ワクチンを勧めた後に悲惨な結果となってしまった場合、きっとあなたは後悔することになるでしょう。効果の説明や、安全性について真摯に伝え、判断は本人の意思を尊重する形にしておくのが無難と考えます。

反出生主義関連については、他にもいくつか記事を投稿してありますので、良かったらそちらも参考にしてみてください。以下は反出生主義の思想全体についての記事になります。


もう一つは反出生主義の女性が出産に向き合った時の葛藤についての記事になっています。


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