日本で禁止された学問-地政学
最近インターネット、特にYoutubeなどで目にすることが多くなった、見慣れない学問として「地政学」というものがあります。
日本では馴染みがないですが、社会科で習う「地理」と「政治」を合わせたような学問で、地理的な影響が与える周辺への影響などを考えていく学問となっています。
これは、世界規模で観た際の国家戦略を練る際に活用されることが多く、戦前の日本でも太平洋戦争時の戦略を支える基盤としても活用されていました。その他、アメリカや西欧諸国でも国家戦略に対して、科学的な根拠を与える手段として発達してきています。
今回は、世界の様々な歴史や、現代のニュースなどを理解する上で、非常に有用だと感じることが多いこの地政学について取り上げてみようと思います。
危険な学問としてGHQに禁止される
太平洋戦争(大東亜戦争)にて敗戦した日本は、GHQにより統治されるわけですが、その中の指導として、地政学を研究することを禁止されました。
これは、地政学という学問の性質上、他国の地理的な性質とその政治的な活用などを研究することになり、それは他国侵略計画につながる恐れがあると判断されたと推測します。
実際、地政学の分野の中には、「戦略地政学」と呼ばれる分野が存在し、これは国家安全保障や軍事面において、地政学を活用しようとするものです。純粋な「地政学」が中立なものであるのに対し、この「戦略地政学」の分野は明らかに国家の目標を達成するための軍事的な解決方法の計画をも包括しており、危険とみなされても仕方がないものでしょう。
実際、ドイツを始め、世界的に植民地政策が盛んだった第二次世界大戦前は、各国で研究が進み、外交戦略の理論を支えていたようです。
世界情勢の理解を助ける
しかし、現代の社会情勢を考えたり、また各国の歴史を理解する上で、「何故」そのような戦略となったのかという疑問を解決するためには、非常に有用な学問であると、最近は切に感じます。
地政学は、当時普通の学問だったわけですから、その考え方が理解できれば、その行動原理が理解できるのは当然なのです。
分かりやすい例を挙げると、大東亜戦争時に日本は南下政策を取るわけですが、その大きな目標としては「石油」の産出国である「インドネシア」を視野に入れていたことがあります。その大きな目標を達成するため、太平洋・南シナ海あたりの制海権を取る必要があり、アメリカとの戦争が回避できないという状況に陥ったと推察できるわけです。
国際的な歴史の過程と共に、現代におけるニュースの「何故」という疑問を、地政学は様々な視点からその原因を切り出して教えてくれると思うのです。
日本と西欧の発展
面白い動画をいくつか紹介しようと思います。
日本は、明治維新後に急激な近代化に成功し、未曽有の発展を遂げるわけですが、同じく西欧諸国は産業革命を始め、他国に比べて早い段階で文明的な進化を遂げています。
しかし、多くの人が知っているように、そもそも人間はアフリカから生まれ広がり、文明は地球の赤道付近(エジプト、メソポタミア、インダス)といった中央付近で始まっています。それなのにもかかわらず、日本や西欧諸国が発展したことに、違和感を感じないでしょうか。
そういった疑問に対して、地政学から考えている動画が以下になります。
この動画では、世界を「第一地域」「第二地域」と分け、それぞれの特性から、何故そのような発展に至ったかを解説してくれています。もちろん実際の歴史はそんなに単純ではありませんが、一つの要因として理解するのには十分な説得力を感じます。
現代における中国と周辺国の関係
また、同チャンネルでは地政学関連の動画をいくつか取り扱っていて、非常に興味深いものがあります。
現代の世界情勢で何かと注目される中国についてですが、報道等で取り上げられる最近のニュースでは分からない、中国の根本的な「行動原理」について理解する上で、非常に助けとなると感じたのが、以下動画になります。
この動画では、チベットとその周辺国、そしてそれらに跨る「水」資源について注目し、それぞれの国、特に中国の思惑について解説が行われています。
日本は資源がない国として有名で、多くの国民がそのことを嘆く一方、このような「水」資源については日本はとても恵まれているという認識はあまりないのではないでしょうか。島国だからこその感覚だと、この動画を見ていて私は強く思ったわけです。
自国の常識であっても、世界的には非常識なことが多いと感じることが多いですが、この「水」についての見方はとても勉強になりました。
温暖化に伴う世界情勢の変化
さらに極めつけは、最近の私の興味の一つでもある環境問題、「温暖化」に関係しているものです。
同チャンネルで、「北極」に関して取り上げている動画があります。
この動画では、北極の氷が解けるという「温暖化」の説明にとどまらず、地政学的な観点から、資源について、そして北極海航路について取り上げていて、それに伴う政治・経済的な影響について言及しています。
特に、北極海航路を巡っての北海道に対する見解は、他でもない我が国の領土に関することなので、大変興味深いところです。
温暖化による悪影響だけではなく、この事による経済的な恩恵や、各国の利権等影響についても考えることは、温暖化の対策について考える上でも非常に重要だと感じます。特に、EUやアメリカ、そして日本などを中心に「脱炭素」を目指して推し進めている政策ですが、ロシア・中国は逆に温暖化を利用して国力の増大を目指すということになれば、世界的に温暖化を止めることは難しいでしょう。これら各国の歩みを揃えていくためにも、この地政学というのはとても有用だと感じるわけです。
まとめ
今回は、私が最近気になっている学問「地政学」について取り上げてみました。
私は学生時代からコンピュータが大好きで、大学では電子工学の道を進み、IT関連の中小企業にてプログラマー~SEと、現代流行している流れを歩んできた一人です。
ですが、歳をとって、社会や政治についても理解が深まるにつれて、もっと世界的な社会情勢について学んでおけばよかったと思うことが多いように思います。そんな中で、とても有用な地政学が、日本で学ぶことが出来ないことは、非常に残念でなりません。また、今後の日本の若者も、同じように本学問を学ぶこと、そもそもそんな学問が存在すること自体を知る機会がないことは、残念に思います。
しかし、現在インターネットを始め、昔よりも多くの情報を簡単に収集できる世の中になっており、我々の世代よりも後の人たちが、それら情報を活用し、よりよい社会・世界を構築していけることを願ってやみません。
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