日本におけるイスラム教はどんな感じか
最近は、イスラム教への興味が止まりません。(2021/08/01)
興味と言っても、信仰しようとしているのではなくて、どういった宗教なのか正しい知識を得たい、と強く思うようになったという感じです。
日本では、古くから仏教を中心とした国造りが行われ、後にキリスト教や儒教を取り入れ、近代においては日本神道に立ち返り、そして敗戦後にその信仰も禁止されるという、宗教についてはあまり良い結果のない歴史を歩んできています。
そんな我々日本人は、特にイスラム教については知識がありません。
現在、世界第二位の信者数を抱える大きな思想の源流でもあるイスラム教という宗教を、我々はもっと深く理解する必要があると、強く感じます。
イスラム教への知識が必要
というのも、世界の人口60億人の中で、最大の信者数を抱えるのはキリスト教(約20億人)ですが、次いでイスラム教(約18億人)と、世界二番目の宗教であること、そしてあと20年もすれば世界一の宗教になるだろうという予測がされているからです。
これは、出生率などから推測されているらしいです。
にも関わらず、日本人はイスラム教のことを殆ど知らないように思います。どんなことが必要で、どんなことに気を付けなければならないのか、彼らがどんなことに困っているのかなどを知りたいと思っていました。
日本の中では、イスラム教を信じている人と出会うことも少ないことが、知識がないことの大きな理由でもあるかもしれませんが、ここ最近では、日本でイスラム教徒の方々が様々な活動を行うようにもなってきていて、日本の国としても様々な変化が起きていっているようです。
日本でのムスリム(イスラム教徒)
そんな中で、丁度いい動画が見つかり、内容もかなり興味深かったので、ここに共有しておこうかなと思いました。
この動画では、実際に日本(東京)に暮らすムスリムの方が、どのような生活をされているのかを、密着のような感じで、順番に紹介してくれます。
日本においての、食事やお祈りや、そして会社組織の中での宗教への理解などについて語られています。
少なくとも、私の人生の中では、周りにイスラム教徒の方はおらず、大変参考になりました。
イスラム教の基礎知識
勉強し始めたばかりで、稚拙ですが、今現在のざっくりとした理解で、動画に関係ありそうなところは以下のようなものでしょうか。
1. お祈り5回/日
2. お祈り前に身を清める (特に足)
3. お祈りは汚くないところならどこでもOK
4. 食事でブタ肉がダメ
5. アルコールもダメ
6. 女性は家族以外に頭髪含め、体のパーツを隠す必要がある
上記動画を視聴する前から知っていたものもありますが、今回改めて理解しなおしたものもあります。
この他にも、信仰の開始には宣言が必要だったり、自分の財産を一定量寄付しなければいけないような決まりがあることも薄っすらですが把握しています。(逆に言うとその程度の知識です)
食事について - ハラルフード -
ムスリムの方々にとってはかなり重要なようで、材料が分からないものは口にできないため、日本ではラーメンとか無難なものは外食できるけど、かなり難しいようです。スーパーで購入するときも、一つ一つ含まれているものを確認しながら購入するので、一種のアレルギーのような感じでしょうか。
日本の食品では、アレルギー食品の表記がされているものがあり、関係する人はその表記を確認して購入を検討できますが、イスラム教用の表記はありません。ですが、そういう表記(Halal)がある食品もあるらしく、東京でもそういった食品を扱う専門店のようなものがあるようですね。
普段購入する食料品で、この表記があるかなんて確認したことは当然ありません。もしかしたら付いているものを購入したこともあるかもしれません。
友人や、取引先の方などでムスリムの方がいた場合は、このマークが付いている食料品は食べることができる、という分かりやすく実用的な知識を得られました。
逆に言うと、付近でこのマーク入りの商品が購入できない場合、ムスリムの人からすると住みにくい場所ということになるでしょう。海外からお客様が来られる場合などにも、こういった知識があるとちょっと役に立ちそうですよね。
飲み会について - ムスリムは酒を飲まない -
会社などで催される飲み会、私も今は病気で飲むことができませんが、元はお酒大好きでしたので、飲み会に参加もしますし、企画して部署のメンバー引き連れて行ったりしていました。
そんな中にムスリムの方がいる場合、彼らがアルコールを口にできないことを正しく理解しておかねばなりません。動画内でも「一杯だけ!」と勧められ続け、以降飲み会には参加しなくなりましたとインタビューで答えている方がいらっしゃいました。
日本の悪い習慣ですよね。
私も似たようなことをしでかしていたかもしれません。知らないことにより、相手に大変な失礼を働く典型です。人のふり見て我がふりなおせ、ですね。
お祈りについて
家にいるときのお祈りや、昼休憩のお祈りは、まぁ予想通りというか、そんなに問題ではなさそうに見えました。場所があって、方角さえ確認できれば、後は特に汚い場所でなければ、道端とかでもよいみたいです。
お祈りの際には身を清める
これは正直難しそうだなと思いました。
人によってはトイレの蛇口から出る水で足を洗ったりされるらしいですが、日本ではそういう風習がないため、手足を清める低い位置の水道などは用意されていません。そのため、清めるという行為は日本ではかなり難しそうです。
会社内に、イスラム教徒のためだけの水道施設を作るというのも、日本国内の特に中小企業などでは対応が難しそうに思います。イスラム教徒の国と取引があるような会社は別として、それ以外は費用の捻出が難しいでしょう。
そういった場合にも、例えば一定範囲ごとにそういう施設があるなど、国や地方の団体が支援してくれると、一層イスラム教徒の方々は日本で過ごしやすい状態になるでしょう。
日没のお祈り - 休憩時間外のため難しい企業も -
5回のうち、会社にいる時間に行う昼のお祈りは、昼休憩の時間を使ってできるそうですが、日没のお祈りは少し大変そうでした。季節によっても日没時間が変わりますし、就業時間中でもあり、日本の会社でも対応がまちまちのようですね。
1回のお祈りにかかる時間は10~20分程度とのことですが、今後イスラム教圏への進出を考えている企業や、海外からのスタッフを採る場合などにも、このあたり配慮ができるといいですね。
お店の一角などでお祈りする場所 - 徐々に日本でも増えている -
とても驚いたのが、秋葉原などのビルの一室(一角)やラーメン屋さんの2階の一部などに、お祈りをする場所が設けてあったことです。本当に日本人の心配りが素晴らしいなと思いました。
十分な数ではないかもしれませんが、そういったことが必要な方々が困らないように、できる限りの配慮をしようとする取り組みに感動しました。日本人に生まれてよかったなと。
ちょっと調べてみたら、5年前くらいにJR東京駅にも祈祷室が作られているみたいですね。
まとめ
イスラム教は本当に興味深い宗教です。
ただ、やはり個人的には、中東等暑く食糧事情が厳しい環境における「倫理観」を説いているものだと思えてなりません。
様々な制約、決まりなどがありますが、これらは信仰する人を締め付ける・苦しめるためのものではなく、その地域の生活や、人々の未来のために、どうするべきなのかという指針を示されていると考えます。
そのため、日本を始め、気候や生活の状況が違うところに来てまで、その教えを単純に守るだけでは、正直なところで「それは妄信」の類と思ってしまいます。これは恐らく私が日本人だからでしょう。
ですが、人に良いことをするのが推奨されていて、それは些細な事、例えば話す人に対して笑顔を向ける、ということでもよい、という倫理観は本当に気持ちの良いものだと思います。しなくても良いけど、すればBetterという。お祈りをする場所へ行くときに香水をつける、というのは、正直匂いがキツそうで大変そうですが、それも「近くの人にいい匂いをできるだけ振舞おう」という心遣いとのことなので、悪い気はしませんよね。
ユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教と、徐々に社会に合わせて更新された人々の倫理観の礎は、世界規模における共通のものにアップデートすべき時が来ているようにも思います。固定観念に捕らわれず、理論的で合理的な世界共通の倫理観を生み出せるのは、世界で日本人だけなのではないでしょうか。
ちなみに、ムスリムたちの食事制限は、現在地球温暖化などの観点から注目を浴びています。それについても記事を執筆してありますので、よかったらそちらも参考にしてみてください。
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