現代制空権の要 - 空母の歴史と現状
2021年現在、アメリカと中国は互いに牽制しあい、その緊張度合いは世界的に注目されている状況です。今のところ武力衝突は起こっていませんが、アメリカから中国への経済的な措置が行われて行っている状況です。名目としては中国の非人道的な政策に対する経済制裁といったものです。
それだけでなく、中国は軍事的にも拡張を続け、現在も核兵器や空母などの拡充に力を入れています。
今回は、現在中国が建造進めている空母が完成すると、軍事バランスが中国有利との見方があるようで、その点についてまったく知識がなかったので色々と調べてみようと思ったことがきっかけです。
空母とは
そもそも空母というものはどういうもので、いつからあるものかよく知りませんでした。
空母は略称で、正式には「航空母艦」というらしいです。
定義は「航空機を多数搭載し、海上での航空基地の役割を果たす軍艦」とのことで、私たちの想像通りです。
英語では、Aircraft Carrierと表現し、航空機の運搬船という意味合いの言葉になっています。
最初は船から気球を打ち上げて偵察をするといったものだったのが、そこから水上機、そして陸上機と、段々と発着できるものが進歩していったという歴史があるようです。
第一次世界大戦ごろから研究が進み、実戦で活躍するのは第二次世界大戦だったようです。
空母の活躍
第二次世界大戦時、各国は空母を所持していましたが、特に日本の真珠湾攻撃に始まる「機動部隊」という発想が戦争の形態を大きく変えてしまったようです。
それまで航空機の発着をする拠点的な運用だったものが、移動する空母と共に巡洋艦、駆逐艦などを含めた海上戦闘能力も併せ持つ艦隊として運用されたわけです。
この第二次世界大戦、主に太平洋戦争では多くの空母が戦場で活躍しています。海での戦闘に勝利することで、制空権を得て、侵攻していく、という流れです。
現在の空母の状況
第二次世界大戦中に多くの空母が活躍していたので、現在は世界にさぞ多くの空母があるのだろうと思ったら、実はそんなことはありませんでした。
そもそも空母を保有している国自体が非常に少なく、保有している国も、その保有数は一桁が殆どで、世界を見渡しても数えるほどしか空母は存在していません。これは非常に驚きました。
何といっても、核兵器については世界に20000発以上あるとされているのに対して、空母については数十隻くらいしか存在していないのですから。そういう意味では、かなり貴重な戦力ということになります。
世界の空母は数十隻程度
なんと、最大の空母保有国であるアメリカでさえ、2021年現在で11隻とのことです。以下は英語のサイトですが、各国の空母保有数についてまとめられています。
世界中の空母を足し合わせても20隻程度で、想像していたよりも遥かに希少な艦のようです。また、空母の駆動形式が原子力であったり、発艦可能な機体がステルス機体かどうかであったりと、性能にも差があるようです。
中国の空母増産について
中国が空母をどんどん作っているというニュースがあります。
このニュースによると、中国は2021年に完成する空母はカタパルトという最新の発艦能力を有した空母で、大変な脅威になるとのことです。さらに中国は今度も空母製造を続け、アメリカに追いつこうとしているようです。
今後の中国の空母保有数予測は以下になっています。
2021年 1隻
2025年 4隻
2030年 6~10隻
2025年 4隻
2030年 6~10隻
戦争の準備なのか、国防上の戦略なのかは定かではありませんが、軍事力を増強していっていることは確かです。特に「一つの中国」を掲げ、台湾への軍事的圧力が目立ちます。
台湾との関係性について、歴史を振り返りながら考察をした記事がありますので、そちらも紹介しておきます。
日本の空母戦略について
対する日本はというと、ヘリコプター用の空母はありますが、陸上機の発艦が可能な空母は保有していないようで、現在海上自衛隊の「いずも」を空母に改修進めているようです。年内にはステルス機の発着試験が行える見通しのようです。
ステルス機というのもかなり種類があるのですが、いずもに発着できるようになるF-35Bという機体は、アメリカの第五世代戦闘機で、なんと垂直着陸することができるという、まるで近未来の乗り物の様な、超最新鋭航空機です。
主に中国が空母建設を進め、南シナ海・インド洋についての圧力を強めているため、日本も国防上の観点から空母保有を急ぐ必要が出てきたというのが現状のようです。
この「いずも」改修の後には、「かが」についても同様の回収を行う予定があり、それらが完了すると、日本は空母を2隻保有した状態になることになります。
(2021年10月追記)
航空母艦「いずも」の回収も終わり、無事F-35Bの発着試験が完了しました。その模様が動画で公開されています。F-35Bの貴重な発着の瞬間を見ることができるため、世界からも注目されています。
まとめ - 中国に対する賞賛と懸念 -
中国の思惑を正確に知ることはできませんが、メディアからの情報を信じるのであれば、大変よくない状況のように感じます。
個人的には、大日本帝国が辿ってきた道と、現在の中国の進む道が同じように見えてしまいます。経済的な成長、軍事力の拡充、そして他国からの経済的な締め付け、立ち行かなくなり戦争へ踏み切るという悲劇の歴史に。
中国という国の経済発展は、本当に素晴らしいと思っています。
多くの人が多くの技術の発展に貢献し、世界中に影響するようになる現在を、昔の中国からは想像できたでしょうか。歴史を学べば学ぶほど、現在の中国の目覚ましい発展は、人間社会において本当に素晴らしい事象と言わざるを得ないと感じます。
ただ、報道で知りうる限りの香港や新疆ウイグル自治区での問題などは、現代社会において許されるものではあってはならないと強く思います。全ての人が幸せになるための共産主義じゃなかったんでしょうかね…。一部の選ばれた人だけが幸せになる主義が、世界に受け入れられるわけはないと思うのです。
ただ、それに対する制裁などについては、もっといい方法はないものなのかと悩ましいところです。人間社会の未来がとても不安に思う調査でした。
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