2021年8月29日日曜日

2021年8月のアフガニスタン情勢と歴史

event_note8月 29, 2021 editBy Fluffy Knowledge forumNo comments

 2021年8月のアフガニスタン情勢

執筆時点では、アフガニスタンの情勢はひっ迫しており、関連したニュースを見かけないことがないほどです。


この記事は、現在の状況を未来の人に向けて残す記録的な目的と、現代に生きる人にもう少しニュースが理解できるように、可能な範囲で捕捉が出来ればいいなと思い執筆しています。

8月末までに米軍撤退完了予定


とりあえず、執筆時点の状況から記載します。
今日のニュースです。


アメリカ軍は、今月末(2021/08/31)までに米軍を完全撤退するとしています。この知らせを受けて、タリバンが制圧を開始し、アフガニスタンを掌握したというのが今月の大きな動きです。

アフガニスタン旧政府は「交戦は無益」とし、国外に退去しました。

制圧したタリバンは、彼らを正式な政府と認めるよう、国際世論に訴えていて、方針は穏健で融和しようという構えを示しています。しかし、イギリスのジョンソン首相は政府と認めないようにと呼びかけしています。

アフガニスタン国内からは、過去のタリバン政権が戻ってきて、強硬で偏ったイスラム政権を築くことを憂慮し、国外への退去を希望する人が殺到し、首都空港周辺は大混乱となっています。

日本政府は、日本人などの国外退去支援のため、自衛隊を派遣していて、隣国のパキスタンの空港に待機し、タイミングを見計らっては退去支援活動を行っているようです。

上述の恐ろしいニュースは、その空港周辺の混雑に向けて、ISIS-Kというグループがテロを仕掛け始めていて、それに対してアメリカ軍が抑制の攻撃をしかけているといったものになっています。

タリバンは、このテロは外国の軍が駐留しているせいで起こっているとすると共に、8月31日を超えて外国の軍が駐留し続けることは想定していないとしています。

つまり、ここから1~2日が、まずは一つの山場となることには間違いなさそうです。

アフガニスタン紛争の発端


このアフガニスタン情勢を知る上で、オススメの動画があります。


また中田かよ、と思われるかもしれませんが、面白くて分かりやすいのだから仕方なし、といったところです。

中東については前後編となっていて、合計すると1時間くらいありますが、回りくどく内容が薄い地上波のドキュメンタリーなんかよりも、中身が凝縮していて、全体像が把握しやすいため、中東情勢、特にアフガニスタン情勢に興味がある人は、見て損はないでしょう。

忙しい人のために要約


動画内で順を追って説明があるのですが、そんな時間もない人のために、超絶要約を書いておきます。

  • 事の発端はソ連のアフガニスタン侵攻
    • アフガニスタン防衛側をアメリカが支援し、アルカイダ(名簿)が生まれる
  • ソ連戦およびその後の内戦で難民がパキスタンへ。
    • パキスタンにて過激教育されたタリバン(学生)が生まれる
    • 内戦に乗じてタリバンがアフガニスタン政権を獲得
  • イラクのクウェート侵攻(湾岸戦争)でビン・ラディンがアルカイダに接触
    • 911同時多発テロ
  • テロへの報復でアフガニスタン攻撃
    • タリバン政権崩壊、ビン・ラディン死亡
    • 2021年8月まで継続してアメリカ軍駐留・交戦を続ける
  • アメリカがイラクへ戦争をしかける (疑いを基に)
    • フセイン大統領が殺され、政府関係者は公職追放
      • 追放されたスンナ派のイスラム教徒が武装化しIS(イスラム国)結成
ざっくり書くとこんな感じでしょうか。

大きく3つのイスラム過激派が存在していて、それぞれ理由や結成時期は異なりますが、総じてアメリカや他国の倫理を押し付けてくる組織に恨みがある、といった状況です。

タリバンは、上述の通り一度アフガニスタンを統治していたことがある組織です。ですが、当時はイスラム原理主義と言われる、厳格なまでに極端で曲解したイスラム教を押し付ける形であったため、特に女性は教育も受けることが出来ず、殆ど仕事にも就けないといった差別を受ける形で、大きな遺恨を残しています。

それぞれの過激派組織が共闘しているかというとそういうわけではないようで、アルカイダとISは方向性の違いで決別していたりもするようです。

現在と今後の見通し


このままタリバンが政権を握ってしまうと、世界情勢的にはあまり好ましくなさそうですが、個人的にはアメリカの退避には賛成だったりもします。

世間的にはアメリカは無責任だという声もあったりしますが、そもそもアフガニスタンの問題なので、アフガニスタンで解決すべきであって、アメリカはテロ組織などを抑制する活動をしてくれていただけだという認識です。確かにソ連侵攻の際に無責任に武器を支援したりしていますが、それが何十年にもわたって面倒をみなければならない責任に昇華されるいわれはないように思います。

そんなこと言いだしたら、日本も韓国をホワイト国除外する前に輸出していた武器の部品はアフガニスタンにも流れている可能性があるわけで、責任の一端を担うことになるのか、という話になってしまいかねません。

とにかく月末までにアメリカ軍は完全退去し、その後タリバンを正式な政権として認める形になってしまうと予想すると、気になるのはやっぱり中国・ロシアの動きでしょうか。

中国の一帯一路構想のど真ん中に位置するアフガニスタンは、中国としては外せない国、であるわけで、どんな形であれ友好的…いや有効的に迎えるでしょう。

強力なテロ組織を抱える政権が中国に協力するとなると、各地で中国に利するテロが起こるのではないかという懸念も湧いてきます。

共産主義と宗教という、水と油の相性が、内政不干渉という名目でどのように協力関係を構築していくのかは少し興味があったりもします。

まとめ


コロナで世界中がまだまだ揺れている際に起こった、大きな世界情勢の変化ですが、今後もまだまだどのように動いていくのか予断を許しません。

過去の歴史ではなく、現在紡がれていっている歴史の中の一人として、今後も目が離せません。

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