2021年11月3日水曜日

COP26で化石賞再び | 脱炭素化の後進国日本

2021年 COP26で日本はまた化石賞


2021年11月に、イギリスで開催されたCOP26についてニュースになっています。
日本からは、衆議院総選挙も終わってすぐですが、岸田総理が強行日程で参加されてきています。驚きの0泊2日という日程で、こちらも別途ニュースになっています。


COP26というのは、第26回気候変動枠組条約締約国会議のことで、26回目なのでCOP26と呼ばれています。気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国は196か国もあり、気候変動問題に関する世界の最高意思決定機関とされています。

今回は、そのCOP26で日本が化石賞を受賞したことについて取り上げつつ、改めて地球温暖化と気候変動対策について考えてみます。


化石賞とは非常に不名誉な賞


「気候変動に後ろ向きな国」として与えられる不名誉な賞、それが化石賞です。以下は化石賞受賞を伝えるニュースの動画です。


この報道によると、日本がCOP26で主張したと思われる気候変動対策への取り組みとして「水素やアンモニアを一緒に燃やして温室効果ガスの排出を抑制した」というのが、世界的に進められる脱炭素化への取り組みとして非常に効果が薄く、もっと効果の高い施策が必要だということのようです。

世界の認識と日本の認識に大きな乖離があるということで、「目を覚ますべき」と厳しい言葉と共に、「気候変動に後ろ向きな国」としての化石賞を贈られたのです。

このことから私たちは、気候変動問題に対する認識が「世界から見て遅れている」と認識を改め、もっと真剣に取り組むことを考えなければならないのです。

2019年 COP25でも化石賞を受賞済み


実は日本は2019年にイタリアで開催されたCOP25でも同様に化石賞を受賞しています。

当時環境大臣だった小泉進次郎氏が演説したことも有名で、その演説内容があまりにも稚拙だったこともあって、そちらしか記憶にない人も多いかもしれません。

COP25での化石賞受賞については、過去にも記事で取り上げていますので、興味がある人はそちらもご覧ください。


2019年のCOP25でも化石賞を受賞したにもかかわらず、その2年後に開催されたCOP26でも再度化石賞を頂いているのです。これは不名誉の上の不名誉で、世界からは「何度指摘されても態度が変わらない」と評価されても仕方ありません。

しかし、この気候変動への取り組みが遅れるのには、日本の資本主義社会における重要産業も影響を及ぼしているのです。

気候変動に対しての取り組みが遅れる日本


日本の重要産業の一つとして、火力発電所の技術提供が挙げられます。

日本は近隣諸国や途上国に対して、エネルギーインフラの供給を支援するため、安価なエネルギーとして火力発電所を誘致したり、設備を整えるための技術協力を行っています。

この技術協力は、海外の途上国を支援する名目はもちろんありますが、日本経済を支えている重要な産業でもあります。そのため、気候変動問題で何度も指摘されても、この産業を止めることは難しいのです。

また、先進国と同様の発展をしようと必死で開発を進めている途上国としても、先進諸国が行っているのと同じ火力発電所を利用しようとすると、それを阻止されようとしていることでもあり、当然納得できるものではないでしょう。

気候変動問題への取り組みは、確かに世界全体が協力して行っていかなければならない問題ではありますが、こういった各国の思惑も入り乱れるため、非常に進めることが難しい問題と言えるでしょう。

先進国が爆発的に進めた科学力が地球環境を悪化させ、途上国は殆ど関係ないのに対応策や厳しい政策を押し付けられる格好なのです。こういうことを書くと、またホセ・ムヒカ氏のスピーチを思い出します。


化石賞に対する日本人の反応が情けない


私自身は、化石賞の受賞のニュースを聞いて、真摯に「世界から見た日本」と、「日本の対応の難しさ」を改めて考えるのですが、同ニュース動画のコメント欄を見ると、非常に情けなく、そしてがっかりとした気持ちになります。

コメントを残している視聴者の方は地球環境問題や気候変動の問題をデマか何かだと思っているのか、殆どが「化石賞なんて意味ない」といったような趣旨の言葉が殆どです。

こういう人たちは、日本人が高く評価されると喜び、低く評価されると認めないという性質がある方々のようにも思います。日本の近くにそういう国家があったように思いますが、そういう国の人々なのでしょうか。

褒められたときは謙遜し、怒られたときは素直に反省する、そういったことができるのが日本人であり、そういう日本人だからこそ誇りに思えるのではないでしょうか。

あまり日本人とか民族差別的な事は言いたくありませんが、少なくとも自分を誇らしく思うためにも、このような非現実主義的な言動を行わないように注意しようと思うばかりです。

水没しつつあるワシントン | 温暖化対策は急務


現実を見ない方々もいるようなので、もう少し緊迫感のあるニュースについてもここで紹介しておくことにします。

これは未来でも過去の話でもなく、2021年11月3日のニュースです。

ワシントンにあるホワイトハウス周辺にある、観光名所のタイダルベイスンは春にはおよそ3,800本の桜が咲き乱れることで有名です。しかし、そのタイダルベイスンという美しい公園は、地球温暖化に伴う海面上昇で水没しつつあります。


海面が上昇したことにより、塩分を多分に含んだ川の水が公園内に侵食し、多くの桜が枯れていってしまっているのです。アメリカではこの海面上昇の対策に防波堤を築くなどの対策を検討しているとのことですが、このままだとホワイトハウスのすぐ近くまで海面が迫ってくるという予測もある状況です。


COP26にはアメリカ合衆国のバイデン大統領も参加していますが、そのバイデン大統領が公約通りに気候変動問題への対応を進めないとして、デモが起きているようです。

日本の東京はまだ海面上昇の影響を直に受けていないため、日本人の反応はどこか他人事のようですが、アメリカは目の前まで危険が迫っているという状況なのです。

まとめ - 他人事だと思うのを止めよう -


自分たちさえよければ他人がどうなっていても構わないという考え方の人も、世の中にはいることでしょう。

しかし、私たちはそんな人間でよいのでしょうか。

困った人たちがいたら、率先して助ける日本人を誇らしく思い、そういった活動をする自衛隊の方々への感謝や賞賛を贈る日本人なので、多くの日本国民は上記の様な他人のことを考えられない人たちではないと、私は信じています。

ただ、他国の事なので情報を集めにくく、実際に気候変動が現実としてどれだけ差し迫った問題なのかという認識が足りないのだと思うのです。

この記事を読んでくれた人の一人でも構わないので、気候変動問題を他人事だと思うのを止め、少しでも前向きに考えるようになってくれることを願います



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