ロシアのウクライナ侵攻と日本の歴史
執筆時点は2021年の12月ですが、ロシアがウクライナ近郊に軍備を固め、いよいよ侵攻を開始するのではないかと、アメリカを中心として世界が注目をしています。
大規模作戦を実行する際には、近隣諸国や対象の国などに隠し通すことが難しいとされ、相手に戦術的な情報がある程度バレた状態になることを前提として作戦を立てるらしく、現在のウクライナとロシアの間は、まさにそのような大規模な軍勢が集結して、作戦が開始されようとしているのです。
ロシアがウクライナを狙っているのは、既にクリミア半島を事実上掌握してしまっていることからも分かる通り、かなり以前からのことです。実は日本とロシアの間で過去に軍事的な衝突をした日露戦争にも関連しています。
今回は、ニュースで流れてくるウクライナの情勢と、学校で習う日露戦争についての関連などを紐解いて考えてみることにします。
ロシアは西の不凍港 - 黒海と地中海を目指す
ロシアはとにかく寒いのです。港が凍り付いてしまうほどの寒さで、物資の運搬などで重要な海路が冬の間は使えなくなってしまいます。
そのため、ロシアは長い歴史の中で、ずっと凍らない港「不凍港」を求め続けてきています。温暖化の影響で北極海の氷もかなり解けてきているようなのですが、それでも不凍港願望はなくならないようです。
ロシアは南に勢力圏を伸ばす際に、最初はヨーロッパ方面の黒海や地中海を求め西側のルートを検討します。
西に南下した結果、今のウクライナやトルコなどと何度も紛争を起こしています。しかし、この野望はドイツなどの妨害で断念することとなります。
ロシアは東の不凍港 - 遼東半島を目指す
西の海を得ることができなかったロシアは、目標を東に切り替えます。
東の凍らない港を検討した結果、朝鮮半島の付け根にある遼東半島付近に狙いを定めます。当時の遼東半島は、非常に情勢が不安定な状況でした。
日本と清が軍事衝突し(日清戦争)、日本が勝利したことによって、遼東半島は清から日本へ割譲(譲り渡す)されていました。しかし、遼東半島を狙うロシアは、他の諸国を巻き込んで日本への圧力をかけ、遼東半島を清へ返還させます。
清に返還された遼東半島は、今度はロシアに統治権をゆだねることになり、日本が治めるはずだった領地は、気づけばロシアの領地になってしまいました。しかし、日本はまだロシアに比べて圧倒的に経済的にも軍事的にも劣っていたため、強く出れないという悔しい状況でした。
日本とロシアは朝鮮半島北部を巡って衝突 - 日露戦争
遼東半島を治めるようになったロシアは、そのまま大規模な鉄道工事を行い、中国北東部全域に影響力を強め始め、さらに南下して朝鮮半島へ影響力を持ち始めます。
当時日本は朝鮮半島から大陸へ勢力を伸ばしていこうと、朝鮮半島の政治に深く関わり始めていました。
朝鮮半島やその北部の満州近辺の統治を巡り、日本はロシアと軍事的な衝突をしてしまうこととなります。当時の日本は非常に劣勢でしたが、奇跡的に遼東半島での戦闘や海戦において部分的に勝利し、アメリカの仲介を得て講和することに成功します。
日露戦争の結果、日本は賠償金こそ得られませんでしたが、南満州の鉄道の権利を独占することになり、その後の中国北東部の繁栄に向けて多額の投資を始めることになりますが、清が倒れた後の中華民国と折り合いが悪く、満州事変~太平洋戦争と帝国主義の末路へと歩みを進めることになります。
朝鮮半島の過酷な歴史については、過去に記事にまとめていますので、そちらも是非ご覧ください。
東で敗れたロシアは再び西を目指す - ウクライナ
日本に日露戦争で敗北してしまったロシアは、力を蓄えて再び西の黒海を目指します。
黒海に突き出たクリミア半島に港を持つウクライナの東部全域の掌握を目指し、ロシアの野望は止まりません。軍事的に無理やり侵略して治めてしまおうという、世界大戦時のような倫理観で驚きますが、それでも有利に事が運べると判断する何かがロシアにはあるのでしょう。
早ければ2022年早々にでも侵攻が開始されるのではないかと危惧され、ロシアへ考えなおす様に各国が説得を試みているようです。
まとめ - 日本との関係性 -
今回のウクライナへの侵攻作戦は、日本から遠く離れた場所での出来事のようですが、あまり楽観視してはいられません。
ロシアと仲の良い社会主義国家である中華人民共和国は、ロシアがウクライナを狙うように、台湾の併合を虎視眈々と狙い続けており、最近は軍事的な圧力を強めていることをニュースでも度々報じています。
ロシアがウクライナへ侵攻を開始するのに合わせて、中国が台湾への侵攻を開始してしまうと、国際的には大混乱です。
日本は台湾や日本の国土を守るために、中国と事を構えなければならなくなるかもしれません。戦闘準備を万全にしたロシア・中国に対して、日本の防衛能力は十分なのでしょうか。アメリカが守ってくれるのでしょうか。
私たちは、自分たちの大切な国を自分たちの手で守ることができるように、必要な準備が行われるように、しっかりと政治に関心を持ち、平和を維持することが可能な人を選挙で選ばなければなりません。
世界の情勢は非常に緊張した状態で、正しい情報を集めて判断していきましょう。
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